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このエピソードの内容
有意義な旅行は幸福をもたらすのでしょうか ? ハーバード大学教授でベストセラー作家のアーサー ブルックス氏によれば、それは可能であり、彼はその仕組みを理解しています。
ブルックス氏は、彼が考える幸福の 3 つの「主要栄養素」と、普段の行動からの変化、思い出作り、共有体験を通して、旅行がそれらの栄養素をどのようにもたらすかを説明します。衝動的な冒険からビーチでの静かなひとときまで、最高の旅には少しの興奮と少しの恐怖、そして多くの意味が含まれていると彼は言います。
旅行の思い出を永続させるための心理学と、本当の感情的価値を創造するために業界が理解すべきことについては、下記のインタビュー全編をお聞きください。
「旅行そのものが結果ではありません。幸せが結果です。そこで素晴らしいことが起こるのです。」
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[00:01:41] アーサー お招きいただき、ありがとうございます。
[00:01:42] エリザベス まずはとても難しい質問から始めたいと思います。クビになるかもしれませんが。
[00:01:47] アーサー どうぞ。
[00:01:48] エリザベス 私の上司であるエクスペディアのアリアン ゴリン CEO は、旅行ビジネスは幸福ビジネスだと言っています。ですが、そもそも幸せは作れるものでしょうか ?
[00:01:58] アーサー はい、それは正しい発言ですね。旅行ビジネスは幸福ビジネスです。旅行には、大きな幸福をもたらす要素がすべて含まれているからです。もちろん、完璧な幸福をもたらすものではありません。ずっと旅をしていれば、最高に幸せな人間になれるというわけではありません。フライトがキャンセルになって嫌な思いをしたり、そもそも家に帰る必要もありますし。私は、生涯ずっと落ち着くことなく日常と非日常の狭間に留まろうとする人たちをたくさん知っていますが、それも幸福の秘訣ではありません。ですが、旅行が落ち着いた日常の中のアクセントになるのなら、それは幸福のためにできる最善のことの一つです。
[00:02:36] エリザベス 幸福の土台になるものは何でしょうか ? 3 つあると仰っていますね。
[00:02:39] アーサー はい、3 つの「主要栄養素」があります。幸福にとってのタンパク質、炭水化物、脂質にあたるのが、楽しみ、満足感、意味です。それが 3 つの要素です。旅行は主に楽しみの主要栄養素になります。まずは、楽しみとは何かを説明しなければなりません。快楽とは違います。多くの人が、楽しみについて教えてほしい、と私に言ってきます。気持ちよくマッサージを受けたり、良いワインを飲んだりしています、と言うのですが、それは快楽と楽しみを一緒くたにしています。快楽は大脳辺縁系で感じます。大脳辺縁系とは、進化の観点から言えば 200 万年から 4,000 万年前の古い組織領域です。ここでは、ある出来事が自分にとって良いことか悪いことかを判断する信号を出しています。つまり、ここで感情やフィーリングが生まれるわけです。ですから快楽もここで生まれます。カロリーとか仲間とか、そういうものを得るように信号を送っているのです。快楽を得るというのは、人生の良い目標とは言えません。快楽自体は良いことですが、幸福にはつながりません。常に良い気分でいることを目標にすると、最悪の結末を迎えることになります。最終的には中毒になり、問題を抱えることになります。皆さんの周りにも高校時代にそういう人がいたと思いますが、うまくいかなかったでしょう ? その理由は幸福に関係があります。快楽に 2 つのものを加えれば、快楽を管理することができ、快楽に支配されることはありません。快楽を楽しみに変える 2 つのものとは、人と記憶です。快楽に人との喜びや記憶が加われば、楽しみが生まれます。その結果、その経験は脳の司令塔となる部分、つまり脳の中で意識的な決断を下す、前頭前野と呼ばれる部分に移動します。人は、前頭前野で記憶の中の人たちと一緒に快楽を体験しているときには快楽を管理することができ、快楽に支配されることはありません。また、思い出として永遠に楽しみを感じることができます。私の 20 代の学生たちに技術的な話として話すことがあるのですが、人は生い立ちや習慣などの理由から、何らかの快楽を生み出すのが本当に得意です。何か大きな快楽を与えてくれるものがあり、それが一人で楽しんでいるものなら、おそらくそれは間違ったやり方です。快楽にとどまっており、そこで終わっているからです。
[00:04:37] エリザベス コミュニティや、周りの人たちが必要なんですね。
[00:04:38] アーサー ええ、人と記憶が必要です。ですからビールの CM には、アパートの一室で 12 本入りのケースを一人でがぶがぶ飲む男は決して登場しません。美しい光景ではありませんから。「我が社のビールは、世界中のアルコール依存症の人に大人気です」という CM なんて嫌ですよね。
[00:04:53] エリザベス ですが、裏庭でもビーチでも見かけますよ。
[00:04:56] アーサー 一人ではないですよね。
[00:04:56] エリザベス ほかの人と思い出を作りながら。
[00:04:58] アーサー そのとおりです。そこで旅行の話に戻りますが、旅には楽しさと愛、思い出があるため、理想的です。ですから、旅行がうまくいけば、楽しく、さまざまな体験に満ちたものになります。それには愛情が関わってきます。一人で過ごすのではなく、誰かと一緒に思い出を作るのが一番いいので。なぜかというと、日常の安定した状態から外れているからです。珍しいこと、非日常を体験しているわけです。人は、この 3 つの要素を組み合わせて、幸せを感じるのに欠かせない主要栄養素を作り上げています。旅行はほぼ理想的な方法と言えます。計画的に正しい方法で、適切なリソースを使い、目的を持って行えば、とても幸せな人生を送るための最良の方法の一つになります。
[00:05:43] エリザベス 自分が正しい旅をしているのか心配になりました。
[00:05:45] アーサー 詳しく教えていただけますか ?
[00:05:45] エリザベス はい。私にとって旅行中の最高の過ごし方は、ハイキングに行ったり、何か運動したり、美術館などで脳に刺激を与えることです。ですが、何もしないでいるのも好きです。私は部分的にしか幸せになっていないのでしょうか ?
[00:06:00] アーサー 何もしないとはどういう感じですか ?
[00:06:02] エリザベス ビーチに座って本を読みながら、昼寝などをする感じです。
[00:06:07] アーサー それは本当に何もしないわけではありませんね。ビーチなど、家以外の場所にいるなら特にそうです。ビーチと同じくらいリビングにいるのが好きという意味ではありませんよね。
[00:06:16] エリザベス 確かにビーチが思い浮かびました。
[00:06:17] アーサー ええ、それには理由があります。太平洋は美しい場所ですよね。
[00:06:22] エリザベス 匂い、手触り、感覚...はい。
[00:06:25] アーサー 実際に体験して、楽しいことをしているわけです。しかも、実に良い感じで変化をつけています。休暇に一人で旅行に行くのは好きですか ?
[00:06:33] エリザベス 行くこともありますが、いつもは家族か友人と行きます。その方が楽しいので。正直言って、一人だと寂しいです。
[00:06:41] アーサー 寂しいこともありますよね。今の時代、さまざまな種類の啓発的な体験ができます。私もときどき一人でスピリチュアルな旅に行くのですが、幸せな人生を送るために必要なことをたくさん体験できます。それも旅行の楽しみの一つです。ですが、一人でエッフェル塔には行きたくないですよね。「エッフェル塔を見に行くけど、誰にも邪魔されたくないんだ。一人っきりになりたいんだ」といった話も聞いたことがありますが、かなり珍しいです。
[00:07:05] エリザベス そうですね。これは友人からの質問なのですが、今年の初め、新しい法王が選ばれた日に、彼女は母親とローマにいたそうです。
[00:07:13] アーサー それはとても幸運でしたね。
[00:07:14] エリザベス ただ、それは最高の休暇と言えるのでしょうか ?
[00:07:18] アーサー 神経科学的には、計画していなかったイレギュラーなことが起こったとき、非常に濃密な思い出が刻まれます。ジェットコースターに乗っている時間がたった 11 秒でも、もっと長く感じるのはこのためです。また、恐ろしい交通事故に遭う瞬間には時間の流れが遅くなり、時が止まったように感じます。これは、脳の海馬でエピソード記憶を濃密に刻み込んでいるため、時間が止まったように感じるのです。
[00:07:46] エリザベス 脳が記録する方法が原因なんですね。
[00:07:47] アーサー はい。日々の中で感じる新しい記憶が濃密であればあるほど、時間の流れは遅くなります。ですから、その友人は素晴らしい思い出を持てるでしょう。ローマにいた 2 日間が 2 か月のように感じられるでしょうね。それはある意味、そのとおりなのです。時間は実は直線的なものではありません。カレンダーや時計の上では時間は直線的ですが、それは人工的なものです。人間が作った枠組みに過ぎません。携帯電話に表示される地図が実際の道路を模したものであるのと同じように、時計が刻む時間はただの仕組みで、本物の時間を真似ているのに過ぎません。時間は連続的に流れるのではなく、「まとまり」で感じるものなのです。そして、そのまとまりの大きさはさまざまな要素に左右されます。たとえば、そのときの年齢や、それまでの人生経験、退屈しているか興奮しているかも影響します。精神状態が神経化学に影響するためでもありますが、刻み込む記憶の密度にも関係します。ですから、旅で最も大切なことの一つは、密度の濃い思い出を作ること、したことのないことに挑戦することです。それが、私が旅をすすめる理由の一つです。多くの人が「休暇は、毎年同じ場所に行き、同じことをしている」と言います。それは間違いです。心の老化を防ぎ、幸福を得るためにすべきことは...確かに人によっても違います。性格的、精神構造的に決まった日課を好む人もいます。ですから、人によって結果は変わってくるかもしれません。しかし平均的に見れば、これまでとは違う新しい冒険をすることは、心の老化を防ぎ、より多くの幸福を得るうえでとても良いことです。
[00:09:09] エリザベス 私の場合は、初めて行った島でスキューバダイビングをしたことが、このロアタン旅行の輝かしい思い出になっているわけですね。
[00:09:18] アーサー また、気に入らないことがあったとしても、新しい体験なので強い思い出として残ります。
[00:09:25] エリザベス 強いポジティブな記憶ですか ?
[00:09:26] アーサー 必ずしもそうとは限りませんが、それは興味深いテーマです。多くの人にとって、人生の豊かさの多くは、ポジティブな記憶だけから生まれるわけではないからです。ポジティブな記憶だけでは不十分なんです。要は、そこに思いがけない発見や偶然が必要で、ちょっとしたリスクもなければなりません。休暇について考えていると、直感が多くのことを教えてくれます。ここに行こうか、乗馬はどうだろう、バイクでカラハリ砂漠を横断しようか、など、やりたいことがいろいろ思い浮かぶはずです。できることが 5 つあるなら、人はその 5 つについてあれこれ考えます。そうやって考えているうちに、直感が整理してくれます。そして直感に従うことになるわけです。なお、何かしようと考えているときには、3 つの感覚が生まれます。ちなみに、それは新しい仕事に就いたり、プロポーズを受け入れたりする場合と同じです。
[00:10:03] エリザベス 旅行だけではない、と。
[00:10:04] アーサー はい、そうです。
[00:10:05] エリザベス 自分の直感に耳を傾けろ、ということですね。
[00:10:06] アーサー 直感は、興奮やワクワク感を与えたり、恐怖心を与えたり、無力感を与えたりします。
[00:10:13] エリザベス 恐怖と無力感ではまったく違いますね。
[00:10:16] アーサー 無力感は一種の虚無感です。休暇でほかの人が楽しんでいることをしようと考えると、無力感を感じることがあります。自分の趣味ではないな、やめておこう、と。まだ体験したことのない理想的な休暇は、それが怖い体験だからではなく、未経験であるがゆえの不確かさから生まれます。ワクワクが 9 割、恐怖心が 1 割ぐらいが理想です。恐怖心がまったくないのはダメです。うまくいかないかも、楽しくないかも、という感覚が必要です。そして虚無感がゼロなら、それが探し求めていたものです。いろいろなものを見ていると、「これはとても新鮮だが、初めてだから嫌な体験になる可能性は 10 パーセントはあるはずだ」というものに出会えます。
[00:10:49] エリザベス それでもするわけですね。
[00:10:49] アーサー もちろんです。それほど気に入らなくても、2 度と体験できない思い出を大量に刻むことになりますから。休暇のおかげで心の老化を防ぐことができます。
[00:10:59] エリザベス ですが、一つ質問があります。アーサーさんは濃密な記憶を蓄えています。どうすれば 5 年後、10 年後にも生き生きとした記憶を刻み込めるのでしょうか ? どうすれば、思い出が意味を失ったり、ただのスナップショットになるのを避けられるのでしょうか ? 鮮明に覚えておきたい非日常的な旅は、どのように記憶するのがよいのでしょうか ?
[00:11:17] アーサー 多くの人は、そのためにたくさんの写真を撮りますよね。実はそれが問題です。休暇中に写真を撮ると、休暇自体を楽しめなくなります。そうでなければいいのに、と思いますが、写真を撮ると残念ながらそうなってしまいます。
[00:11:28] エリザベス 写真の撮り過ぎはよくないという研究結果があります。
[00:11:30] アーサー いえ、休暇中に写真を撮るだけでそうなります。
[00:11:32] エリザベス 撮るだけで。
[00:11:33] アーサー 休暇を楽しめなくなります。写真をソーシャルメディアに投稿するつもりだと、もっと休暇を楽しめなくなります。その理由は、自分が「今」に存在しておらず、未来に存在するからです。休暇の写真を撮っているときは、未来から現在を思い出のように振り返っている状態になります。つまり、未来と過去に同時にタイムトラベルしているようなものです。今は、ここフィジーにいます。フィジーで過ごそうとフィジーに来たのに、実はすでにアメリカに戻り、過去の思い出であるフィジーのことを思い返しているのです。どうかしていますよね。人間の脳はとんでもないです。前頭前野は奇跡的とも言える存在ですが、そのせいで私たちの体験は簡単に劣化してしまいます。ですから、もっと良い方法で休暇の写真を撮るとよいでしょう。方法が問題なのです。インスタグラムに載せるのではなく、自分のために撮るのです。大事な人たちと旅行するときは、毎日写真を撮る人を 1 人決めて、ほかの人が撮れないようにする。これがおすすめの方法です。そこが大事な点です。記憶したいなら、一日の終わりにその日したことを日記に書いてください。
[00:12:35] エリザベス そして毎日続けるんですね。
[00:12:36] アーサー 毎日、一日の終わりにやってください。そうすることで、しっかり記憶を刻み込めます。
[00:12:41] エリザベス 日記の長さはどのくらいがいいですか ?
[00:12:43] アーサー どうしたいかによります。私は箇条書きで書くのが好きです。そうできれば、とても良いと思います。後から読めば思い出せますから。
[00:12:51] エリザベス そうですね。凝ったスタイルにする必要はなく、箇条書きにすることで、その日一番楽しかったことを書き留めることができますから。
[00:12:56] アーサー つまらない内容でもかまいませんよ。遅くまで寝ていたとか、ルームサービスで違うものが来たとか、ビーチでタオルをもらえなかったとか、クラゲに刺されたとか。
[00:13:09] エリザベス ビーチで場所取りのタオルが多すぎて椅子が残っていなかったとか ?
[00:13:11] アーサー はい、何でも。そういったことも後で振り返れば笑えますから。
[00:13:16] エリザベス 本当に楽しいのは、そうした旅の話を聞けることで、最悪の旅をした人もいますが、最高の思い出になった人もいます。そういった物語が人と人を結びつけ、人と思い出を結びつけます。幸福と旅行に関するこれらの教訓を、旅行サービス提供会社はどのように受け止めるべきでしょうか ? お客様の記憶に残るような物語を生み出すにはどうすればいいのでしょうか ?
[00:13:39] アーサー まず、旅行関係者が何が結果かを正確に把握することがとても重要です。旅行そのものが結果ではありません。結果は経験です。家を出た瞬間から始まる経験です。空港に着いて、飛行機を待っているとき、目的地に着いて、いろいろなことが起きて、実際に家に帰るまでが経験です。
[00:14:02] エリザベス つまり、途中経過すべてですね。
[00:14:03] アーサー そうです。そのことを意識するのはとても重要です。旅行関係者が、厳密に言えば休暇ではない部分のさまざまな体験をスムーズにすればするほど、すべてがうまくいくわけですから。もっとも、全員にそれが当てはまるわけではありませんが。世界は広いですから。しかし、エクスペディアの素晴らしいところは、総合的な旅行体験ができることです。たとえば、ぴったりのレンタカーや快適なホテル、高すぎない料金、最適な航空会社などです。ですから、統合された旅行体験が本当に重要なのです。体験とはそういうものですから。航空券だけでは不十分です。全部です。その根底にあるのは、旅に出かける理由です。つまり、旅行関係者が考えるべきなのは、どこをどのように旅行するかではなく、なぜ旅行するのかという点です。本当に重要なのは、動機を理解することです。2 つの大きな旅行の動機は、ビジネス旅行と観光旅行ですよね。私にとっては、この 2 つは完全に一体化したものです。私は年間 32 万 km の旅をしており、1 年のうち 48 週間旅に出ています。私は常に旅をしているわけです。
[00:15:03] エリザベス しかし、目的は違うわけですよね。
[00:15:04] アーサー 目的は違いますが、旅をしていない時間が嫌いなんです。いつも出かけたくてうずうずしています。ですから私にとって、ビジネスと楽しみは同じものです。このように、旅の理由を理解し、そのことについてオープンに話すことは、意識すべき重要な点だと思います。結局のところ、良い旅を提供する仕事というのは、幸福を生む職業です。では最終的な目的は何でしょうか ? 幸せになることです。それが目的地です。こう言って宣伝するとよいでしょう。ここが最高の思い出が生まれる場所です。ここで最高に興味深い体験ができます。ここで配偶者と再び恋に落ちることができます。ここで人間関係を深めることができます。つまり、愛や経験、楽しみ、思い出です。それこそ宣伝すべきことです。それが、人々が本当に望んでいることだからです。フィジーは素晴らしいですが、人々が本当に求めているのは愛なのです。
[00:15:55] エリザベス 確かに、人は愛を求めています。今お話しになった経験について、人は恋に落ちたいわけですが、同時にそこに物語も求めています。つまり、目的地やホテルは「愛を感じる体験」に重点を置く必要があるということですね。
[00:16:10] アーサー 航空会社もですね。
[00:16:11] エリザベス 航空会社も。
[00:16:12] アーサーレンタカー会社も。
[00:16:13] エリザベス では、私がレンタカーのオペレーターだとして、どうすれば幸せな体験を生み出せますか ?
[00:16:19] アーサー 誰かがやってきて列の一番前に来たときに、「今日は休暇でどちらへお越しですか ?」と尋ねます。すると、「あそこは行ったことがありますか ? どういった場所ですか ?」と聞かれます。そのとき、あなたは、車を借りようとしている人の脳内のドーパミンを増やしています。これから体験することへの期待感を高めているわけです。その後、今度は返却に来たときに「どうでしたか ?」と尋ねます。こうすれば、幸せな体験を生み出すことができます。
[00:16:40] エリザベス ドーパミンを出すための一工夫ですね。
[00:16:42] アーサー レンタカー会社の人は、旅行体験で得られる楽しみを劇的に増やすことができるでしょう。
[00:16:51] エリザベス 先日、ボルチモアの友人たちを訪ねました。私が着くと、友人たちはとても喜んで、なぜ来たのか聞いてきました。私がワクワクしながら「ここで 3 人の旧友と自分の誕生日を祝いたくて」と伝えると、友人たちは「それはいいね、ちなみに、階下にはカラオケルームと酒場がありますよ」と言ってくれたので、みんなで行くことになりました。そこはホテルでしたが、友人たちは、私に楽しい体験、楽しい時間を過ごしてもらいたかったんです。
[00:17:13] アーサー ホテルは本当にそういった意味で良い体験を提供できる場所ですね。ついでに言うと、出張者向けホテルもそうですね。
[00:17:23] エリザベス 先ほど言いかけたのですが、喜びや体験は必ずしも贅沢でなくてもよいと思います。
[00:17:27] アーサー そうですね。逆に、私は豪華さは求めていません。贅沢は望んでいません。特にホテルについては。ホテルにセルフチェックイン端末が置いていないのには驚かされます。夜 11 時に到着してチェックインの列に並ぶなんて考えられませんね。びっくりです。間違っていると思います。
[00:17:43] エリザベス なるほど。ですが、人間のスタッフなら「こちらへはどういったご用件で ?」と挨拶できますが、チェックイン端末は言えません。
[00:17:49] アーサー 人間のところにたどり着くまで 25 分も待たされた挙句、どういった目的か聞かれる。夜の 11 時ですよ。タイミングが悪いですね。
[00:17:56] エリザベス この場合も、お客様を理解し、そのとき何を望んでいるか知るのが大事ということですね。
[00:18:00] アーサー そのとおりです。本当に望んでいることを把握するのです。私は人生でずっと旅をしています。19 歳のときから少なくとも年に 7 か月は旅に出ていて、今 60 歳です。思えば本当に長い年月です。何が旅行体験をより豊かに、楽しく、面白くするかを知るのは、素晴らしいことです。そうすれば、仕事と楽しみの両面で満足できる旅ができるようになりますから。
[00:18:27] エリザベス なるほど。私は去年のクリスマスにアリゾナへ旅行しました。家族と、これまで 3 回泊まったことがある良いホテルに泊まりました。とても楽しみでした。ですが、旅は今一つで、さっさと家に帰りました。
[00:18:40] アーサー なぜ今一つだったのですか ?
[00:18:40] エリザベス 振り返ってみると、そのとき、兄弟の一人が 2 日しか滞在できなかったんです。それまでは、家族全員が揃って休暇を過ごしていました。そこで家族の不在があり、みんな落ち着かない状態で、どうしたらいいか戸惑っていました。良いホテルにも泊まり、美味しい料理も食べ、プールも最高でした。ですが、家に帰るのが待ち遠しかったんです。それは家族の不在が原因だと思います。そのため、満足できない休暇を過ごすことについて、本当に考えさせられました。幸福を得たいがために多くのお金を使って家族と過ごすのに、たった 1 つ欠けるだけでそうなってしまうなんて。
[00:19:19] アーサー 興味深い話ですね。その休暇を取ったとき、仕事のことが心配でしたか ?
[00:19:24] エリザベス はい、そうですね。
[00:19:25] アーサー きっとそうだと思います。アリゾナに行って、素晴らしいホテルで美味しい食事をして、プールも楽しく、天気も最高だったのに、いい時間を過ごせなかったのなら、まず私が思ったのは、あなたは仕事のことが頭から離れず、ずっと携帯電話をチェックしていたのではないか、ということです。その場ではほかのことは忘れるべきなのに、それができなかったわけです。先ほど話したように、それが、写真を撮ることが良くない理由の一つです。
[00:19:44] エリザベス アーサーさんが同じホテルに泊まる理由は何ですか ? ビーチで飲むカクテルですか ? タオルが十分使えるからですか ? リピーターになる理由は何ですか ?
[00:19:52] アーサー あくまで私の場合ですが、本当に好きなことが 2 つあります。譲れないことですね。エレベーターや製氷機の隣は嫌だ、とか、一晩中、空調の音がするのも嫌だ、とか、当たり前のこともあると思います。ですが、私の場合は、ふかふかのベッドです。とにかく柔らかくて寝心地のいいベッドが欲しいんです。それが理由の一つで、ベッドが柔らかいホテルがお気に入りです。私の場合ですが。2 つ目は、素晴らしいジムがあることです。そしていつでも利用できること。私は時差ボケがひどいので。素晴らしいジムとふかふかのベッドがあれば、ぐっすり眠れるし、起きてからしっかり体を動かして、一日を気持ちよくスタートして幸せな気分になれるんです。これが大事です。
[00:20:31] エリザベス なるほど、あの高揚感が必要なんですね。さて、アーサーさんは幸福学の分野でキャリアを積んできました。旅行業界にとって大事な教訓はありますか ?
[00:20:40] アーサー 旅行業界にとって大事なのは、旅行業界は実は幸福業界であるということです。旅行そのものが結果ではありません。幸せが結果です。それを理解したとき、「何」から「なぜ」へ、ビジネスに素晴らしい変化が起こり、人々の人生に素晴らしいことが起こるのです。
[00:20:56] エリザベス なるほど、違う考え方もあるかもしれませんが、より多くのお客様を引き付けることになるでしょうね。
[00:21:00] アーサー 目的地はあくまで幸福です。目的地がアクロンというのとはまったく違います。アクロンが悪いわけではありませんが、私たちはもっと幸せになりたい、というのが最終目的地なのです。
[00:21:10] エリザベス 愛と幸福ですね。
[00:21:11] アーサー そのとおりです。
[00:21:12] エリザベス あと 2 つ質問があります。チェックインして最初にすることは何ですか ? ベッドを確認するなど、着いてすぐにすることはありますか ?
[00:21:18] アーサー まず、テレビを消します。いつもついていますから。ブルックスさん、ようこそ、とかニュース速報とか、ホテルにテレビはいりません。
[00:21:31] エリザベス 私たちは旅行のプロたちに話を聞いています。ですが、何か見逃していることや、知っておくべきことはありますか ?
[00:21:36] アーサー 私たちは皆、生活のために働くときでも、人を元気づけたり一つにしたいと思っています。ですが、日々の仕事の中で、そういうケースはかなりまれです。しかし、旅行関係者は例外です。もちろん、ストレスの多い仕事だと思います。何が起こるか誰にもわかりませんから。ストレスも多く、スケジュールありきの仕事ですし。人々を幸せにしようとするとき、そこには多くの問題がありますが、要は、ウェルビーイングと密接に結びついた何かをするのが大事です。それを提供できる職業はそれほど多くありません。幸せなことです。旅行というのは、お金を幸福に変えることができる数少ない方法の一つです。旅の費用は安くはないですが、自分の幸せのためにできる最高の投資の一つでしょう。つまり、文字どおり、旅は幸せを買う方法なのです。
[00:22:23] エリザベス とても楽しいお話でした。アーサー ブルックスさん、「旅行ビジネスをサポート」にお越しいただき、ありがとうございました。
[00:22:27] アーサー 楽しかったです。旅行も大好きですし。この企画もとても良いと思います。
[00:22:30] エリザベス ありがとうございます。
[00:22:30] アーサー ありがとうございました。
[00:22:34] エリザベスアーサー ブルックス氏とのお話は、とても楽しかったです。彼の説く幸福論が教えてくれるのは、素晴らしい旅行体験は豪華さや場所だけではなく、意味、記憶、つながりで生まれる、ということです。皆さんが一般旅行者でも業界人でも、大事なポイントは、束の間の喜びではなく、本当の楽しみを重視すべきだ、ということです。そうすれば、しっかり心に残る旅の思い出を作ることができます。この番組では、このようなインタビューを多数配信しています。Spotify や Apple など、お気に入りのポッドキャスト配信サービスからご登録ください。このポッドキャスト「旅行ビジネスをサポート」をご視聴いただき、ありがとうございました。MC は私、エリザベス グッドリッジが務めさせていただきました。これからも皆さんの旅に役立つ情報をお届けします。
登場いただいた専門家の皆様
エリザベス グッドリッジ
数十年にわたって編集者やジャーナリストとして活躍し、現在、ディレクター、コンテンツエディター兼ライターとして、Expedia Group のパートナー ストーリーテリングの進行役を務めています。ニューヨーク タイムズやボストン グローブなどの報道機関で培った、受賞歴のある長年の経験を生かし、旅行報道や視聴者を第一に考えたコンテンツをお届けしています。
アーサー ブルックス氏
ブルックス氏は、ハーバード大学や世界各地で、リーダーシップと幸福学に関する講義を行っています。アトランティック誌でコラム「How to Build a Life」(人生の築き方) を担当し、『Build the Life You Want 最高の人生のつくり方』(オプラ ウィンフリー氏との共著) など 13 冊の著書を持つ、ニューヨーク タイムズ紙ベストセラー第 1 位の作家です。
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