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存続から繁栄に向けて — ホスピタリティ業界における新章の始まり

「業界におけるこの変動期を生き延びる会社とそうでない会社を決定するものは何でしょうか ?」

デニス シャール氏

スキフト


配信内容


Expedia Group がお届けするポッドキャスト「Powering Travel (旅行ビジネスをサポート)」のエピソード 1 へようこそ。弊社のサリー スミスとブランドン エアハルトによる最新の旅行情報ポッドキャストをお聴き逃しなく。今回のエピソードでは、米国の観光産業ニュースメディア「スキフト」社の創設者兼編集長デニス シャール氏をゲストにお迎えしています。

 

今回は、デニスさんに、旅行分野での 20 年以上にわたる専門的な経験についてお話を伺います。特に、最近のお客様の傾向、人手不足、QR コードの復活、旅行と観光の分野における新たな動向など、ホスピタリティ業界の課題とチャンスを解説していただきます。


トランスクリプトを読む

[00:00:04] ブランドン 旅行体験は皆様によって支えられています。「Powering Travel (旅行ビジネスをサポート)」へようこそ。Expedia Group がお送りします。業界の発展に貢献している専門家の解説を聞き、ホスピタリティ業界の最新トレンドをキャッチしましょう。席に着いてノートパソコンを閉じ、くつろいでお聞きください。まもなく、「Powering Travel (旅行ビジネスをサポート)」が始まります。  
 

[00:00:26] サリー ブランドンさん、本日は、ご一緒できて、とてもワクワクしています。私たちは長い間、一緒に仕事をしてきました。長年の知り合いですが、ポッドキャストのホストを一緒に担当するとは思ってもいませんでした。  
 

[00:00:36] ブランドン 本当にワクワクしますね。実のところ、ポッドキャスト番組の準備が進められているという話を聞いたときから、担当できたらいいなと密かに期待していました。関係者のリストを見たら、あなたの名前が先頭にありました。サリーさんは、この業界で本当に多くの経験があります。過去 2 年間は、仕事と旅行をしながらも 20 年間のように感じられました。このポッドキャストには、本当にワクワクしています。楽しく元気に進めましょう。一緒にホストを担当できて、とても嬉しいです。  
 

[00:00:58] サリー あなたは、ユナイテッド航空など業界で広く仕事をしてきましたね。そして現在は、Expedia Group のロイヤルティ部門を担当されています。ここで大切な質問させてください。あなたが旅行業界で働くその熱意はどこから来ているのですか ? 
 

[00:01:09] ブランドン レビューの中でこの質問が出てくるといけないので、ここで答えておきますね。ユナイテッド航空で、私はごく平凡な、収益管理のアナリスト兼ストラテジストでした。いくつか大きな失敗をしています。あれは、ある休暇シーズンで本当に忙しい時期でした。ニューアークからプンタカナまでのボーイング 737 のフライトをオーバーブッキングしたのです。私のオーバーブッキングが多すぎたため、サイズが 2 倍ほどのボーイング 767 を使用することになりました。これは実に妙案でした。心配していた大きな問題を見事に解決できたと、私は気を良くしていました。ところが、その飛行機がプンタカナに到着したとき、誰もドアを開けることができませんでした。機体が非常に異なっていたからです。航空会社での私の収益管理の経験は参考にならないと思いますが、私はロイヤルティの分野には大いに関心があります。特にパンデミック以降は大きな変化があり、多くの方がロイヤルティ プログラムを再開しています。私にとってロイヤルティが好ましい点は、自分自身が望むメリットに取り組むことができるからです。単に調査に出かけて行って、自分のためのプログラムを設計するのではなく、それと同時に、調査を振り返るときには必ず旅行者としての視点で検討します。ロイヤルティは、今後数年間にわたって非常に注目を集める分野になると思います。あなたも、ロイヤルティに関連する経験がありますよね。スターウッド社で、そのような仕事をしていたそうですね。旅行業界でのあなたの経験と、どのような経緯でエクスペディアに加わったのかを教えてください。  
 

 [00:02:22] サリー ブランドンさん、ありがとうございます。面白いことに、私も収益管理から仕事を始め、あなたの飛行機のようにオーバーブッキングをしたことがあります。ホテルをオーバーブッキングして、パニックにならない方法を私は心得ています。これも私の隠れた才能です。  
 

[00:02:31] ブランドン そうですか。私なら確実にパニックになります。サリーさんは、私より優秀ですね。 

[00:02:35] サリー 興味は移ろいやすいのではないですか ? そうです、私はかなり長い間、この業界で働いてきました。これまでを振り返るとわかるように、この業界は信じられないほどの変化を遂げています。何年も前の仕事を始めた当時、私の役目の 1 つは、20 種類以上の客室タイプがある大規模な宿泊施設についてサードパーティーの卸値料金と在庫を更新することでした。当時はネットワーク化されていませんでした。そのため、収益管理の戦略を更新する必要があるときは、大きなコーヒーカップを用意して、フロントデスクの後ろに座り、毎日のように 8 時間から 10 時間もかけて料金を更新していました。手作業で行う必要があり、ときどきミスをしたと思います。実際にミスをしていたはずです。たとえば、$299 を $29 と入力してしまい、一部のお客様には非常にお得な料金だったということがあったかもしれません。現在では、そうした作業は大幅に迅速化されています。手動で料金を更新する必要はなくなりました。簡単に処理できます。卸値の作業に関しては、収益管理ツールもソフトウェアも高速になりました。とにかく驚くべき変化でした。この業界に長く留まっている理由の 1 つは、業界が常に変化と進化を続けているからです。私はそうした進化が好きなのです。  
 

[00:03:42] ブランドン 料金の間違いの話が出ましたね。テクノロジーのおかげで修正されるようになったと思います。最大の効果と言えるでしょう。実は、シカゴからストックホルムへの $160 の週末運賃に喜んで飛びついたことがあります。数名の友人との旅行でした。短い週末でしたが、これまでで最も長い週末でもありました。旅行という、私たちが情熱を傾けている世界についてここでお話しできるのは、非常に嬉しいことです。そして、リスナーの皆様に参考にしていただけるのは、私たちの知識だけではありません。旅行業界の著名人の 1 人をゲストとしてお招きします。候補者はたくさんいらっしゃるのですが、今回はその中の 1 人で、私が個人的にも関心を寄せている方に参加していただきます。記者をしているデニス シャールさんです。サリーさん、まずは紹介をお願いします。

[00:04:18] サリー わかりました。デニスさんにお話を伺えるのを大変嬉しく思います。デニスさんは、オンライン旅行予約と短期レンタルについての情報発信に力を注いでいます。2016 年には、オンライン旅行予約についての証言を集めた、非常に充実した記録をまとめています。20 年以上にわたってこの分野に関わり、著名なリーダーへのインタビューを行っています。USA トゥデイ紙で旅行関連のウェブサイトとアプリについてコラムを書いた経験もお持ちです。3 人の子供の父親であるデニス シャールさんは、プエルトリコのリンコンにお住まいです。デニスさんへのインタビューで扱うトピックは、業界全体のあらゆる事業分野に関わり、業界の今後についての独自分析も含め驚くほど多岐にわたります。
 

[00:04:56] ブランドン 本当に驚きです。2 台のスマホを持って旅行するのが極意だと考えている人は、デニスさんのお話を聞いてからにしたほうがよいでしょう。素晴らしいインタビューです。では、始めましょう。デニスさん、私が Twitter で通知を設定している 4 人のうちの 1 人があなたです。仮に通知を設定していなくても、母がメッセージを送ってくれます。母は、デニスさんの投稿をメールで送ってくるのです。基本的にスキフト社のすべての投稿を送ってきます。母はメーリングリストに登録しているのです。本日は、そのデニスさんが「Powering Travel (旅行ビジネスをサポート)」のポッドキャストにお越しくださり、非常に光栄です。ご参加ありがとうございます。
 

[00:05:22] デニス ブランドンさん、お母様のお話はちょっと信じられませんね。
 

[00:05:26] ブランドン 証明できますよ。本当の話です。信じてください。母は良い情報も悪い情報も送ってくれます。
 

[00:05:32] デニス それに、ひどい情報も。
 

[00:05:33] ブランドン もちろんです。では、インタビューを始めましょう。軽めのトピックから始めますか ? スキフト社について教えてください。デニスさんは、2 人目の社員だそうですね。もちろん、スキフト社は旅行関連ニュース配信元の 1 つとしてこの業界で最も影響力を持っています。デニスさんは業界が発展する様子やトレンドの変化を目にしてきたことでしょう。この業界はどのように変化してきたのでしょうか、また、スキフト社の基本的な目標は何ですか ?
 

[00:05:51] デニス スキフトは、ノルウェー語やデンマーク語で変化や変革を意味します。スキフト社は、変革を起こすことを目指して旅行メディア業界に参入しました。当社は、旅行業界は退屈で、業界用語にあふれていると考えていました。そのような状況は望ましくありません。そこで、当社の記事では業界用語を避け、会話体の表現を用いています。業界向けの記事でありながら、熱心な旅行者も理解できるような記事を目指しています。当社が事業を始めたとき、コワーキングスペースで、5 人の CEO と 1 年中話し合っていたことを覚えています。当社の目標は、旅行業界のホームページになることだったと言えます。それについては、ある程度実現できました。スキフト社の記事は、旅行業界では必読です。少なくともニュースレターの見出しに毎日目を通す必要があります。私たちは当社の事業に誇りを持っています。62 名の社員がいて、インド、ヨーロッパ各地、ロンドン、米国全土、ハワイ、プエルトリコ、ドミニカ共和国といった世界のさまざまな地域で活動しています。


[00:06:53] サリー デニスさん、旅行業界は非常に変化の激しい業界です。こうした変化をどのように追っているのでしょうか ? 旅行に関するニュースを具体的にどのように入手していますか ? デニスさんは、情報入手のエキスパートですよね。  

[00:07:03] デニス 情報を収集するための最善策ですね。もともと、私は SEC 書類の専門家です。エクスペディアが 10-K または 10-Q に関する書類を提出する場合であれば、私は土曜の夜を使って、それらの書類に目を通し、見落としてはならない重要な情報をすべて確認します。一方、ニュースなどの情報を収集するなら、最適なのはカンファレンスに参加して人々と話をすることです。カンファレンスには、自分たちのテーマについて語り合うために人々が集まっているからです。インタビューも同様です。企業ではEメールでの取材を希望することも多いですが、実際に会話するほどの効果はありません。直接会話することで、より多くの情報が得られます。会話からトレンドについての情報が得られたら、自分のデータを確認します。  
 

[00:07:55] ブランドン デニスさん、私の経験から、あなたが SEC 関連書類を扱っていることは知っていました。疑問なのは、なぜ短時間で読めるのかという点です。キーワードで検索するなど、何か工夫をされているのですか ?
 

[00:08:07] デニス そうした書類には、すべて目次があります。合併や買収、経営陣による説明、事業分析、法的事項など重要だと思われる要素を参照します。読み進めていると、度々つまずきます。率直に言って、理解できない部分も多くあります。そこで、検索機能を使って各セクションに移動します。リスク要因には必ず興味深い内容が含まれている傾向があるので、そうした何か面白い情報があるセクションに移動するわけです。
 

[00:08:38] ブランドン 興味深い話ですね。先ほど、専門用語についても指摘されましたね。スキフト社の功績の 1 つが、業界で使われる用語をいくつか作り出していることだと思います。確か、オーバーツーリズムという用語を作ったのもスキフト社でした。デニスさんが書いたものではありませんが、スキフト社による最近の記事にこう書かれていました。人々が質の異なる観光スポットを各自訪れた場合でも、それぞれ同様に高い品質の休暇を過ごせるそうです。スキフト社では、「旅行を持続可能なものにする必要がある」という考え方をどのようにして取り入れたのですか ?

[00:09:02] デニス 当社は数々のアンケートを通じて、旅行者の意識がより高まっていることに気が付きました。旅行者によっては、非常に高い意識を持っています。持続可能な選択ができることを希望しています。問題は、そのように回答した旅行者のうち何名が実際にそのように行動するかです。そこで、行動を起こさせるのに必要なのは、何らかのインセンティブです。これが興味深い点です。現在、エールフランスは列車と航空機を組み合わせたパッケージを提供しています。このパッケージなら、旅行者は短距離の航空便を使用して環境に悪影響を与えることを避けることができます。これが一種のトレンドです。ホテルであれば、ロイヤルティポイントを提供してはどうでしょうか ? 毎日、客室清掃なしで済ませたお客様にインセンティブを与えるわけです。これは、ますます重要な課題になることでしょう。  
 

[00:09:54] サリー そのとおりですね。それに、宿泊施設に滞在するときや航空便を利用するときに自分の選択がどのような影響を与えるかを理解できるようにすれば、便利でもあると思います。頻繁に旅行をする人たちからも、持続可能性にもっと寄与したいとか、どのような影響があるかを理解したいという声をよく聞きます。持続可能性は間違いなく最優先事項であり、トレンドです。選択する権利が求められているのです。デニスさんは、パンデミックによるさまざまな影響や過去数年の旅行業界の状況を述べていました。それを踏まえて、意見をお聞きしたいと思います。デニスさんは最新情報や公開されたばかりの記事を入手できる立場にありますが、パンデミックの時期または最近の数か月を振り返って、予想していなかった状況がありましたか ? または、最近になって業界で起こった本当に驚くような出来事を教えていただけますか ?  
 

[00:10:43] デニス ささいなことで、笑われるかもしれません。実際には、決してささいなことではありませんが。それは QR コードです。私たちが QR コードの記事を書いたのは、かなり以前のことになります。ある同僚は QR コードについて、これまでで最も役に立たなかった発明だとさえ言っていました。今となっては、QR コードを読み取らなければレストランでメニューを見ることができません。旅行体験に欠かせないものになっています。これが 1 つ目です。ホテルチェーンでは、短期レンタルに力を入れています。マリオット ホームズ アンド ビラズやアンカー社では、良好な物件を買い付けています。実は、御社のカンファレンスに続き、当社は数週間にわたってカンファレンスを開催します。今回初めて、ホテル業者と短期レンタル業者が同じカンファレンスに集結します。これは、一般的なホテルと短期レンタルの違いがあいまいになってきているからです。以上の 2 つを挙げられると思います。 
 

[00:11:35] ブランドン デニスさん、バケーションレンタルについて簡単に質問させてください。宿泊事業者は、お客様が選択肢を求めていることを考慮して、従来型の宿泊施設に投資しながらバケーションレンタルにも投資するでしょうか ? その場合、収益性を考えてのことでしょうか、または提供できるサービスを拡大することでより多くの旅行者を獲得し、独自のロイヤルティ プログラムに誘導するためでしょうか ?  
 

[00:11:57] デニス ホテル事業に比べてバケーションレンタルの収益性は低いため、多くは、旅行の選択肢へのニーズに応えるためだと思います。バケーションレンタルのサポートに参入するカスタマーサービスが増えています。お客様が到着して、セーフティボックスが使えないことが判明することがあります。また、バケーションレンタルはそれぞれ大きく異なるため、写真などからはわからないことがあります。したがって主には、お客様の選択する権利に対するニーズのためでしょう。  

[00:12:30] ブランドン 私たちは、夏の旅行シーズンは大変な繁忙期になると予想しています。課題になると考えられる点の 1 つは、スタッフの稼働状況です。これは、ホテルやバケーションレンタルだけでなく、飛行機やクルーズでも同様です。こうした分野の潜在的な人手不足によって、大変な混雑が見込まれるこの夏の旅行シーズンにどのような影響があるでしょうか ? 
 

[00:12:53] デニス 米国の航空会社は、利用者の定員を削減するとすでに発表しています。定員の削減について正確なことはわかりませんが、2019 年に比べて運航規模をおそらく 80% に減らして運用すると考えられます。航空会社ではスタッフ、パイロット、客室乗務員が不足しているのです。私はプエルトリコに住んでいますが、先週の土曜日の夜は、とても素敵なレストランバーで食事をしました。そのレストランでは、午後 6 時に厨房の業務を終了しました。厨房のスタッフが足りないからです。多くの会社が生き残るために懸命になっています。多くのホテル業者はサービスを縮小しなければならない状況です。レストランを休みにし、客室清掃を最小限に抑えています。こうした会社は、今のところ投資モードではなく、存続モードにあると考えられます。ただし、旅行業界が回復するにつれて、より多くのリソースを投入できるようになると期待しています。

[00:13:53] サリー デニスさんが言及した QR コードは興味深いですし、軽視できないと思いますよ。この数年間の私たちの生活に、まさに影響しています。旅行のときのメニューがその例です。先週ラスベガスへの旅行のために訪れたある空港でのことですが、QR コードを使ってメニューを確認するだけでなく、注文と支払いも QR コードでした。とても簡単でした。特に空港では食事に時間をかけることができないので便利です。ホテル、レストラン、交通機関、ショッピングなどあらゆる場所で QR コードを見かけます。急速に利用が進んでいますね。登場してから何年も経ちますが、最近ようやく本格的に普及し始めました。  
 

[00:14:31] ブランドン QR コードの見事な逆転劇ですね。スーパーボウルで 28 対 3 で負けていたペイトリオッツがファルコンズを逆転した試合を思い出しました。この試合と QR コードの復活は歴史に残りますね。実のところ私はペイトリオッツのファンではありませんが、サリーさんには同感です。QR コードが旅行業界にもたらす多大な価値は、人員確保の課題に関係しています。QR コードで注文して、QR コードで支払うことができるのです。そのため、確保が必要なスタッフを 1 人減らすことができます。私が言いたいのは、業界のスタッフを減らすべきということではなく、プロセスを効率化できるということです。つまり、より戦略的な仕事にスタッフを割り当てることができるという意味です。パンデミック中に話題を集めたように、客室にも QR コードが設置されていますが、QR コードで重要なことはシームレスな使いやすさだと思います。旅行にもシームレスであることが求められます。長きにわたって注目されていなかった QR コードから多くのことが学べます。QR コードの復活は、私たちにとって幸運なことかもしれません。QR コードのおかげで、効率と eコマースについての気付きを得ることができました。そういえば、私も似たような経験があります。QR コードを使ったわけではありませんが、パソコンからレストランのオンライン注文をできずにいました。そこでスマートフォンで試したところ、すぐに注文できました。効率の評価やスタッフ配置との相互運用も重要になりそうですね。ともかく、デニスさんに素晴らしい解説をしていただきました。 

[00:15:59] サリー 夏の旅行と需要に関連しますが、この 2 年間での嬉しい驚きの 1 つが旅行業界の回復力です。もちろん浮き沈みはありましたが、全体的に見て、多くの同業者が投資と旅行業務を継続しているのは素晴らしいことです。燃料コストの上昇と航空会社による各種の削減がある中で、引き続き需要はあり、さまざまな面で価格の上昇につながっています。つまり、旅行費用は上がり続けています。こうしたことが、旅行者の行動に影響を与えているでしょうか ? どのようにお考えですか ?  
 

[00:16:34] デニス 積もり積もった需要があると思います。人々は旅行を求めていると思います。ただし現時点で、米国やヨーロッパのインフレ率は約 8% に達しています。また、パンデミック中に、想像していたほどの割引が行われなかったことも注目に値します。これも、旅行者の選択に影響を与えます。今日、シミラーウェブのデータを見ていたのですが、ロシアとウクライナの戦争にもかかわらず、英国と EU の旅行需要は伸びていて、ヨーロッパの主要な旅行ウェブサイトへのトラフィックは 3 月には約 15% 増加したそうです。ウクライナでは大変な状況が起きていますが、人々が飛行機の利用や旅行の計画を思いとどまっているわけではありません。  
 

 [00:17:26] ブランドン デニスさんは最近、旅行業界の新たな競合についての記事を多く書いておられます。この時期を生き延びる会社とそうでない会社を決定するものは何だと思われますか ?    
 

[00:17:37] デニス 旅行者のニーズに応え、最新のトレンドを常に把握することです。注目すべき会社の 1 つは、ソンダー社です。ソンダー社は、短期レンタルの会社として創業され、現在はホスピタリティ ブランドの構築を進めている会社です。同社はホスピタリティ業界全体を巻き込んで革新を起こすと主張しています。多数の業務を自動化していて、同社の宿泊施設にチェックインする際には従業員と接することがありません。カスタマーサービスに関連する問題については、テキストメッセージで問い合わせます。同社は、さまざまなコストを排除していると主張していますが、若い旅行者のニーズをうまく満たしています。一方、マリオット社やアコー社などの有力ブランドでは、人間的な触れ合いのあるホスピタリティが真のホスピタリティであり、最終的には成功の鍵になると考えています。今後、どのような展開になるかが注目されます。もちろん、ソンダー社には自由に使える豊富な資金があります。同社は十分な資金を確保しています。莫大な純利益を得ていて、IPO や SPAC を行い、株式を公開しました。つまり、これは潤沢な資金力が必要であるということを示しています。また、しっかりとした計画を立て、お客様の動向を把握し、市場の反応を見極める必要があります。
 

[00:18:59] ブランドン 他の会社に目を向けると、ウーバー社のように以前は旅行と縁のなかった会社が、この業界に参入する例が見られます。アマゾン社が旅行業界に参入するという噂も常にあります。同社が強力なアプリを開発したらどうなるかを想像してみてください。このアプリを通じてペーパータオルを購入し、そのうえ旅行を予約できることになりそうです。旅行業界に参入したものの最近あまり成功していない企業や事業を継続できなかった企業がありますが、この状況についてどのようにお考えですか ?  
 

[00:19:25] デニス 中国と東南アジアでは、かなり成功している例があります。最近、ウーバー社についての記事を書きました。同社は、ホテルや航空券の取り扱いをまだ開始していません。今後数か月中に開始する可能性があります。私たちが旅行の計画を立てる場合、空港でどのシャトルに乗るかを最初に考えたりはしませんよね。最初は、どの空港を利用するかを考えるはずです。普通はフライトから検討を始めます。そのため、私はウーバー社の動向をかなり懐疑的に見ています。多くの人々は、ウーバー社が旅行業界に参入することを大事件と考えているようです。ただ、人々がウーバー社を通じて複雑な休暇旅行や出張の予約を行う状況は、そう簡単に実現しないと私は考えています。  
 

[00:20:09] サリー 多数の事業者が参入していますね。これは、旅行エコシステムの規模と生み出される利益の大きさを物語っていると思います。パンデミックを乗り越えて、この業界への参入が相次いでいる状況を目にすること自体が非常に素晴らしいことです。私たちにどのような支援ができるのか、大いに関心を持っています。私たちは、この業界の未来について話しているわけで、これは実際に素晴らしい変化です。今後を予測した場合、どのような大きな動きがあるとお考えですか ? まだ記事にしていない内容で、どのようなことに注目されていますか ? 今後 5 年間で、この業界に期待できる新しい状況や興味深いことには何があるでしょうか ?

[00:20:41] デニス 必ずしもメタバースのようなものになるとは思いませんが、想像できないものになる可能性があります。数週間前、当社のカンファレンスのためにロンドンに行きました。ロンドンには 2 人のいとこがいるのですが、2 人とも電気自動車を所有していました。英国で販売されている新車の 30% は電気自動車だそうです。私はこのことに期待を寄せています。すべてのホテルに充電スタンドが設置されると見ており、これはとても大きな流れになると思います。一方、次の大きな流れというよりも、次なる議論を呼ぶと思われる話題があります。これについてはまだ書いていませんが、記事にするかもしれません。それは清掃料金と短期レンタルです。これらは急拡大しつつあり、導入が急速に増加しています。多くのオーナーの間で議論されています。清掃料金を宿泊料金に含めるべきか、別料金にするかの論争です。これについては、旅行中や、バケーションレンタルや宿泊施設を予約する最後の段階で、お客様が「やられた」と感じる可能性があります。1 泊分の宿泊料金の半分に相当する清掃料金がかかるわけですから。そのため、これは論議を呼んでいます。
 

[00:21:52] ブランドン 清掃料金が新しいリゾート料金になるようなものですね。これは、バケーションレンタルが対象ですね。これは確かに重要なポイントだと思います。バケーションレンタルのチェックアウトの段階になって、たとえば 30% の清掃料金がかかることをお客様が知るわけです。こうしたポリシーが継続することになれば、バケーションレンタルの人気は低迷するでしょうか ? 客室や宿泊施設を予約したときの料金と、チェックアウト時の料金が異なるわけですから。バケーションレンタルの需要に影響があると思いますか ?
 

[00:22:25] デニス 旅行者は予約するバケーションレンタルをより厳しい目で選ぶと思います。少数のバケーションレンタルでは、清掃料金が宿泊料金に含まれています。あるオーナーのスレッドには、清掃料金が別途請求されるレンタルは絶対に予約しないだろうと書かれていました。このように、選択がより慎重になると思います。レンタルをキャンセルする場合、清掃料金が客室料金に含まれていると、全額が返金されない可能性があるという問題もあります。リゾート料金の話は、パンデミックの最中に成功した会社とそうでない会社の話につながります。Expedia Group には、非常に多くのホテル顧客と取引があると思いますが、パンデミックの中でも引き続きリゾート料金を請求しているホテルで事業が低迷している場合、その請求に問題があると思います。また、現在の状況から考えて次の大きなブームになりそうなのは、多くの旅行会社によるフィンテックへの参入だと思います。これは今話題のワードですね。予約の後払い決済など、さまざまな人々に多くの影響が及びます。だいぶ前に登場していますが、他のフィンテックサービスと同様に、次第に人気が高まると思います。航空運賃や宿泊料金を据え置くという点に関しては、旅行保険と似ています。たとえば、お客様が 25 ドル払って、1 週間ホテル料金を固定してもらうなどです。これは確実に大きな流れになるでしょう。
 

[00:24:08] ブランドン デニスさん、ありがとうございました。素晴らしい知見を共有してもらいました。業界に関する視点を説明していただき、ありがとうございます。ここで少し軽い話題に移りましょう。私たちは旅行業界で働いていますが、旅行者でもあります。そこで、いくつか楽しい質問をさせてもらい、旅行者としての側面を知りたいと思います。最初の質問です。旅行の必需品は何ですか ?  
 

[00:24:31] デニス なるほど。これは難しい質問ですね。スマートフォンです。当然ですね。それと 2 台のノートパソコンです。旅行中も仕事をすることが多いので、ノートパソコンを 2 台持って行きます。仕事に関する現在の課題の 1 つは、会社のメッセージシステムをチェックする必要があることです。スキフト社では Basecamp を使っていますが、Slack を使っている社員もいます。私は Slack のメッセージをよく見落として、社内の状況を知るのが遅れることがあります。そこで 2 台のノートパソコンを用意しています。メッセージに返信できず怒鳴られるのを避けるためです。  
 

[00:25:05] ブランドン 2 台のスマホを操る新入社員のようですね。感心させられる話です。   
 

[00:25:10] サリー ブレジャー (出張休暇) のトレンドを体現していますね。よいのではないでしょうか。
 

[00:25:13] ブランドン ブレジャーをミドルネームにしてもいいと思いますよ。それでは、次は、ロイヤルティ プログラムに関する面白い質問です。ステータスやポイントの獲得などロイヤルティ プログラムの特典を得るためにこれまで行ったことのうち、最もおかしなことは何ですか ? どんな奇抜なことをやりましたか ?  
 

[00:25:29] デニス 実は、ロイヤルティ プログラムにはあまり熱心ではありません。ポイントを獲得するために飛行機に乗ることはありません。まったく滑稽なことではないかもしれませんが、私がやったことは、ロイヤルティの特典が得られるサイトから直接予約しなかったことですね。
 

[00:25:48] ブランドン それはとても面白いですね。最後の質問です。私たちが特に知りたかったことですが、旅行に対する情熱を踏まえて、最も思い出に残っている旅行を教えてください。最も素晴らしさを感じた旅行は何ですか ?  
 

 [00:26:00] デニス 間違いなくガラパゴス諸島への旅です。すべての生き物たちに魅了されました。ぜひ、行ってみてください。着岸できない場所もあります。その場合、ボートを降りるときに海水につかることになります。それから動物たちです。ガラパゴス諸島全体が隔絶されているため、数多くの動物は人間を恐れません。本当に驚くべき場所です。もちろん、アオアシカツオドリの求愛ダンスも見逃せません。本当に感動しますよ。  
 

 [00:26:31] サリー 「生きているうちにやりたいことリスト」の項目が増えました。  
 

[00:26:34] ブランドン 私にとって結婚式でダンスをするようなものですね。結婚式で私が踊るところを見たい人がいるかわかりませんが。ガラパゴス諸島への旅は、面白そうですね。私もいつか行きたいと思います。  
 

[00:26:44] デニス 本当に素晴らしい旅行でした。  
 

[00:26:46] サリー 素晴らしいですね。さまざまな質問に回答していただいて、ありがとうございました。  
 

[00:26:50] デニス こちらこそ、お招きいただき、ありがとうございました。

[00:26:54] ブランドン 期待したとおりでした。デニスさんは素晴らしいゲストになると思っていましたし、興味深い分析でした。得るものが多くありました。皆様も同様でしょう。サリーさんもうなずいていますね。リスナーの皆様も同じ考えだと思います。デニスさんの意見は、ご本人が業界に非常に精通していることがわかるだけでなく、業界全体を見渡しての考えであるという点が最も重要だと思います。ウーバー社に関連した質問への回答が大変興味深く、これから誰が旅行者に適応していけるのかを示唆する内容です。これは、私たちの業界にとって非常に重要なことです。お客様にプラスになることは、旅行業界にもプラスになると思います。より多くの人がより多くのことを体験できれば、私たちのビジネスにも素晴らしい効果がもたらされるからです。
 

[00:27:33] サリー そのとおりです。お客様が業界に適応するのではなく、業界がお客様に適応することが非常に重要です。デニスさんのお話には、その他にも興味深い内容がありました。特に、持続可能性は重要な一大トピックであり、今後も話題になるはずです。インセンティブについての説明も興味深かったです。旅行者の持続可能な選択を支援しながら、特典を提供するわけですね。旅行業界にさらに広く導入されることを期待します。もう 1 つ私が注目したのは、フィンテックです。フィンテックへの継続的な投資や、そのテクノロジーが旅行者にどのように役に立ち、どのようなメリットや価値をもたらすかについての説明がありました。素晴らしいインタビューでしたね。
 

[00:28:17] ブランドン そのとおりです。フィンテックの素晴らしい点は、特に予約の後払い決済などがより多くの旅行で利用されると期待され、この業界を後押しする可能性があることです。旅行は多くの人々にとって素晴らしいものです。ややありきたりの表現ですが事実です。パスポートへのスタンプが多いほど、家族とより頻繁にドライブ旅行に出かけるほど、人間性が豊かになり、より素晴らしい経験を重ねることができます。旅行から得られることはとても重要です。特に、2 年間にわたって家にこもる必要があり、室内で体を動かすことやテイクアウトの注文くらいしか楽しみがありませんでしたから。安全になった旅行にお客様に戻ってきてもらうことが非常に重要で、フィンテックが間違いなく、その実現に寄与するでしょう。
 

[00:29:00] サリー まったくそのとおりです。デニスさんの発信する内容に関心がある方は、スキフト社のウェブサイト Skift.com にアクセスするか、Twitter で @denschaal をフォローしてください。スペルは、D、e、n、s、c、h、a、a、l です。ブランドンさんのように、通知を設定して最新情報を受け取ってください。
 

[00:29:19] ブランドン 私の母のメーリングリストに登録してもよいですが、スキフト社のメーリングリストに登録することをお勧めします。その価値はありますよ。デニスさん、サリーさん、どうもありがとうございました。素晴らしいエピソードでした。エピソード 2 が楽しみです。
 

[00:29:29] サリー 「Powering Travel (旅行ビジネスをサポート)」の今回のエピソードはいかがでしたでしょうか。皆様のご意見をお聞かせください。expediagroup.com の「Powering Travel (旅行ビジネスをサポート)」にアクセスしてください。ご登録いただくと、新着エピソードの情報を入手できます。エピソードの評価やレビューもお願いします。旅行ビジネスをサポートしてくださる皆様に感謝いたします。ご視聴ありがとうございました。




司会について

司会はサリーとブランドンの 2 名。旅行に関する最新情報を発信します。業界内のさまざまな専門家にマーケットのトレンドについてインタビューし、興味深いトークや有益なアドバイスを聞き出します。


サリー スミス

Expedia Group マーケットマネジメント シニアディレクター

サリーは、2005 年にスターウッドホテルズ & リゾーツにてキャリアをスタートし、2012 年に Expedia Group に入社。以来 10 年間、ホテル収益管理・販売戦略チームで活躍してきました。旅行に情熱を捧げ、業界に利益をもたらすテクノロジーの力を信じています。カリフォルニア州レイクタホ在住で、夫と 2 人の子供がいます。

ブランドン エアハルト

Expedia Group パートナープログラム シニアディレクター

ブランドンは、ユナイテッド航空で収益管理施策の構築に携わり、キャリアを積みました。現在は、弊社サイトのロイヤルティ プログラム開発を率いています。Expedia Group では、ロイヤルティ プログラムの拡大や調査プロジェクトの立ち上げを担当し、戦略的事業のリーダーとして欠かせない役割を果たしてきました。現在は、妻とやんちゃ盛りの子供と一緒にイリノイ州シカゴに住んでいます。



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