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バケーションレンタルが観光業の今後に与える影響

「お客様が快適な宿泊先を探される傾向が続いており、旅行先でその土地ならではの体験を求める方が増えています。バケーションレンタルは本質的にこうした需要に応える分野となっています」

メリリー カー氏

UnderTheDoormat 創業者兼 CEO


What to listen for


「旅行ビジネスをサポート」シリーズのバケーションレンタルを取り上げたエピソードをお聞きください。ゲストはメリリー カー氏、ゲスト MC はティム ロソリオ、メイン MC はブランドン エアハルトでお届けします。

 

このエピソードでは、バケーションレンタル業界について掘り下げ、バケーションレンタル市場のトレンドを確認し、よくある誤解を解き、バケーションレンタルを始めたい方へのアドバイスをお伝えします。

 

さらに、ゲストであるメリリー カー氏がこの業界に変化をもたらすきっかけとなったバケーションレンタルに関する実体験をお聞きいただきます。


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[00:00:04] ブランドン エアハルト 旅行サービス提供会社は旅行体験を支える存在です。「旅行ビジネスをサポート」の新シーズンでは、ビジネスを牽引する皆様が旅行体験を進化させ、高め続けられるよう、業界トレンド、注目トピック、実用的なアドバイスを紹介していきます。こんにちは。「旅行ビジネスをサポート」のエピソードへようこそ。今回は、このポッドキャストでも節目となる特別なエピソードです。初めてバケーションレンタル市場を取り上げます。この 5 年間浮き沈みの激しかった旅行業界ですが、バケーションレンタルは例外でした。上り調子で需要が高まっています。この数年間、旅行業界ではバケーションレンタル、別名「短期レンタル」の人気が急激に高まっています。エクスペディアのデータでは、2022 年は冬季および都市部のバケーションレンタルの検索数がコロナ禍前より増加しています。グランドビューリサーチによると、世界のバケーションレンタル市場は 2030 年には 1,109 億ドルに達すると予想されています。実際のところ、大局的に見るとバケーションレンタルに関する市場感情はほぼシーズンごとに変動しています。旅行者はバケーションレンタルを好みつつも料金に不満を持っています。住民は近隣にバケーションレンタルが増えることに警戒感を示し、ホテル関係者はバケーションレンタルが長期的需要をもたらすのか懐疑的です。このような背景から旅行者の行動が急激に変化しており、短期レンタルのオーナー様は新たな期待を寄せています。このトピックについて専門家のご意見を伺うため、本日はゲスト MC として Expedia Group、バケーションレンタル部門パートナーサクセス担当バイスプレジデントであるティム ロソリオをお招きしています。ようこそ、ティムさん。お越しいただきありがとうございます。Expedia Group での役割を教えていただけますか。

 

[00:01:44] ティム ロソリオ お招きありがとうございます。この分野への関心が高まっていて嬉しい限りです。ご紹介のとおり、私は Expedia Group のバケーションレンタル部門パートナーサクセス担当 VP です。これは簡単に言うと、Vrbo、Hotels.com、エクスペディアを店だとした場合、店の棚に良い商品、つまり適切なバケーションレンタルの施設を補充するのが私の仕事です。Vrbo の場合は棚に並ぶ商品のすべてであり、Hotels.com とエクスペディアの場合はホテルと並ぶ一部のバケーションレンタルが対象となります。今後はこれらのチャネルで扱うバケーションレンタルを増やしていきたいと考えています。それが私の仕事ですが、もう少し具体的な話をしましょう。私のチームにはグローバルのアカウントマネージャーが 250 人います。このチームの唯一の仕事は在庫の獲得であり、在庫を獲得できたら、ウェブサイトで成果が上がるようにパートナー様を支援します。その際の考え方として、昨日までは差別化要因だったものが、今日になればすぐに標準になってしまうため、次の差別化要因を見つけられるよう支援します。1 つの例として、2018 年には在庫の約 3 分の 1 が「即ギメ予約」でした。残りはまだ「24 時間以内に確定」モデルであり、お客様がウェブサイトにアクセスして予約リクエストを送信すると、パートナー様が 24 時間以内にその予約を受け付けるものでした。そこで、パートナー様がいち早く即ギメ予約を採用すれば差別化要因となりました。ボタンをクリックすればホテルのように予約ができるためです。これが 2022 年には、リスティングの 80% 近くが即ギメ予約になっていました。2018 年にはパートナー様にとって差別化要因だったものが、2022 年にはすでに標準になっていたという事例の 1 つです。私たちのチームは、何が次の差別化要因になるかをパートナー様に説明し、理解していただけるように取り組んでいます。

 

[00:03:37] ブランドン エアハルト ティムさんはこの業界への熱い思いを持っていますが、今日のゲストもそれに匹敵する情熱をお持ちでしょう。ここでゲストをご紹介します。メリリー カーさんです。メリリーさんは UnderTheDoormat の創業者です。同社には受賞歴もあり、高級志向の民泊施設事業で、現代の旅行者に向けてホテルの高い品質と自宅のようなくつろぎを提供しています。UnderTheDoormat 創業以前は 13 年間シェルに在籍し、グローバル戦略マネージャーやグローバル リテール メンテナンス マネージャーを務めてこられました。ここが面白いところです。会社の出張でさまざまな所に滞在した経験が、民泊分野を改善したいという思いにつながっています。ティムさん、短期レンタルにビジネス需要があるのは間違いないですね。メリリーさんはメディアやイベントでも定期的にコメンテーターを務め、業界団体である STAA (Short Term Accommodation Association) の初代議長に選任されています。

 

[00:04:26] ティム ロソリオ このポッドキャストにメリリーさんをお迎えできて光栄です。メリリーさんはこの業界である意味セレブのような存在とも言えます。ヨーロッパでの OTA 活用の専門領域を切り開いた 4 人のうちの 1 人でしたから。メリリーさんのお名前を初めて耳にしたのは、短期レンタル業界の発展に尽力していたスキフトのポッドキャストを聞いていたときです。ジェフ ハーストやジョン グレイ、ブライアン シャープルズなど、当時 HomeAway での私のメンターとなった人がたくさんいました。そのポッドキャストで実際にメリリーさんのお話を聞いて「この方にお会いしなければ」と思いました。先週ロンドンで開催されたショートステイ サミットに参加した際にお会いする機会に恵まれ、胸が躍りました。お会いしたすぐ後に、メリリーさんは Expedia for Business 社長のアリアン ゴリンと舞台に上がり、素晴らしい炉辺談話を繰り広げました。メリリーさんのような業界のベテランと、ホスピタリティ分野、テクノロジー分野の動向について優れた見解を持つゴリンのような人の対話は現状を知るうえで優れていて刺激を受けましたし、エクスペディアで起きることが垣間見える良い機会だったと思います。メリリーさんのような方や、Vrbo や HomeAway に長く務めている私のような従業員のバケーションレンタルに関する知見を集めて、Expedia Group 全体の取り組みに取り入れることができれば、この分野で何かすごいことができるだろうと思います。

 

[00:05:57] ブランドン エアハルトここで 1 つお伝えしたいのは、メリリーさんが今どこにいらっしゃるかにかかわらず出演をお願いしていることです。たとえ月からでも関係ありません。実際に月にいるわけではありませんが、今日はマヨルカで休暇中のところご参加いただいています。お休みのところ時間を割いていただき、感謝いたします。それでは本題に入りましょう。メリリー カーさんです。それでは、メリリー カーさんにご登場いただきます。マヨルカのビーチからのご参加ですね。お時間をいただきありがとうございます。

 

[00:06:25] メリリー カー お招きありがとうございます。

[00:06:27] ブランドン エアハルト それでは、本題に入りましょう。きっかけについてお聞かせいただけますか。バケーションレンタル業界に入ったきっかけと、UnderTheDoormat という会社についてお話しください。

 

[00:06:38] メリリー カー はい。私は旅行が好きな方だと思いますが、一度数えてみたところ、訪問した国は 75 か国くらいありました。そして長年、企業に勤めてきました。しかし、事業を立ち上げるに至った話というのはいつも個人的な話になるものです。私はトライアスロンに参加するためにスイスに行って、そこでバケーションレンタルを利用しました。そこに滞在してみて、想像していたのとは違うことに気が付きました。金曜日の午後 10 時に到着したのですが、その家は清掃されておらず、私たちは猫の世話までしなければなりませんでした。私たちが思い描いていたのとは違ったのです。そのときはっきりとわかったのは、人は自宅のような居心地の良い空間を求めますが、ホテルを利用するときと同じような品質も求めているということです。この 2 つを両立できて、バケーションレンタル分野で本格的なブランドを構築できれば、と考えると、大きなチャンスがあるように感じられました。当時はまだピアツーピア型レンタルが大々的に市場に出てきたばかりのタイミングでしたから。

 

[00:07:44] ブランドン エアハルト バケーションレンタル分野は時とともに変化してきました。コロナ禍では旅行関連は大部分が勢いを失い、息をひそめていました。バケーションレンタルはその逆の状況だったわけです。それでは、コロナ禍以前から現在に至るまでのバケーションレンタルの状況の変化をどのように見られているかお話しいただけますか。

 

[00:08:03] メリリー カー そうですね。コロナ禍前については PwC による調査が参考になります。バケーションレンタル業界は前年比 30% で成長していたことが示されています。どの業界を考えてみても、これは大きな成長です。その時点では 2025 年までに全世界で 3,300 億ドル規模になると予想されていました。その後コロナ禍があり、バケーションレンタルも当然、一夜にして休業を余儀なくされました。多くの業界関係者にとって本当に怖ろしい時期でした。その後、この業界の回復力を目の当たりにしました。多くの場所が NHS 職員の宿泊に使用されるなど、困難な時期を乗り越えるために使用されました。しかしその後、最初に回復しだしたのはこの分野でした。多くの場所で、最初に政府や自治体から再開の許可が出たのはバケーションレンタルでした。世界中から大勢の旅行者が集まる大規模な施設より、個人宅やバケーションレンタルの方がはるかに安全だからです。そのため、宿泊関連の他の分野と比較して、バケーションレンタルは早期に回復しました。STR に非常に役に立つデータがあり、消費者の選択とさまざまな種類の宿泊施設のトレンドがわかります。バケーションレンタルは、コロナ禍後の消費者の選択が 11% 増加していたのに対し、他の分野は軒並み明らかな低下が見られ、中でもホステルは最下位となっています。すごいのは、どれほど多くの人がバケーションレンタルを選択したか、従来の長期にわたる選択傾向にどれほどの変化があったかがわかったことです。現在、皆様も目の当たりにされているでしょう。バケーションレンタルの平均客室単価が多くの場合、ホテルに匹敵しますが、コロナ禍以前はそうではありませんでした。稼働率は、コロナ禍以前には見られなかった新記録を更新しています。ここからわかるのは、バケーションレンタルは困難を乗り越えた回復力のある分野というだけでなく、上昇傾向にあり、投資家がますます増え、成長している分野であることです。そして、そのペースは業界でも注目に値するものだと思います。 

[00:10:09] ブランドン エアハルト なるほど。それではティムさんに伺います。このような成長に対して、一般にはどのように評価されているでしょうか。成長に伴い、認知度が高まり、監視の目が厳しくなるものです。実際の状況と、それに伴うバケーションレンタル分野に対する評価についてお聞かせください。

 

[00:10:22] ティム ロソリオ そうですね。バケーションレンタル分野に関する評価としては主に 3 点あると思いますが、さまざまな行政機関や司法に依存するところがあります。場所によっては、手ごろな住居費の話になることがあります。多くの場合は都市部ですが、バケーションレンタルが住居費の上昇につながっていると非難されています。多くの調査で、これは事実ではないことが示されていると考えます。在庫数に目を向ければ、都市部の不動産全体の物件数に対する短期レンタルの割合は非常に小さなものです。これまでに見てきたほとんどの調査結果において、この主張は正しくありません。耳にすることがある主張の 2 つ目としては、はた迷惑だというものがあります。このような話は誰でも耳にするようなことで、騒がしい家は大きな議論を呼びます。誰かが自宅を短期レンタルのウェブサイトに掲載したところ、その家でパーティが行われ、その家や地域住民が迷惑を被ったという話です。これは私たちが業界として取り組んでいく課題だと思います。ただし注意すべき点として、特に Vrbo ではレジャー目的で滞在のご家族連れを対象としており、ウェブサイトに掲載している施設や弊社のウェブサイトを利用して旅行される方の全体から見れば、面倒を起こす方はごくごく一部に過ぎません。これが 2 つ目の論点です。3 つ目は税金です。地域によって、騒がしさが司法の問題として取り上げられることもあれば、住居費が問題になることもありますが、どこでも確実に問題として取り上げられるのは、ホテル税、宿泊税と同程度の税収が得られるかどうかです。短期レンタルの宿泊代金はホテルの宿泊費用とは異なると主張される場合があるためです。もし実際にそうだとすれば、そこから税収を得たいと考えているのです。私の考えとしては、これは新常態 (ニューノーマル) です。短期レンタルの提供者はサービスの提供に伴うホテル税、宿泊税の支払いに備えておく必要があります。

 

[00:12:23] ブランドン エアハルト なるほど。メリリーさん、話は少しずれますが、引き続き成長についてお聞かせください。この成長は、コロナ禍があったことや、バケーションレンタルを見つけやすくなったことで、バケーションレンタルを体験する旅行者が増えたことが大きく影響しています。このような旅行者は何を求めているのでしょうか。また、それは時間とともに変化してきたのでしょうか、常に一定だったのでしょうか。

 

[00:12:40] メリリー カー お客様が快適な宿泊先を探される傾向が続いており、旅行先でその土地ならではの体験を求める方が増えています。バケーションレンタルは本質的にこうした需要に応える受け皿となっています。本物と旅という言葉がよく聞かれます。宿泊先となる場所ごとに、オーナーの人となりや訪問先の土地柄が感じられることが期待されています。旅行の際にお客様が求められているのはそうしたことです。もう 1 つの傾向として、特に旅行期間が長い場合には、スペースが求められています。これは出張の場合も同様です。出張の数は減っているかもしれませんが、いざ出張となると期間が長くなり、少しリラックスできる空間が求められます。キッチンが欲しくなります。自分で食事を用意したり、ヨガマットを広げたりできることが望ましいのですが、こうしたことは、ホテルの客室ではなかなか難しいことです。このようなトレンドが背景にあって、バケーションレンタルが今後も成長を続ける分野になっているのだと考えています。他にもレジャーなどの要素もあり、こうした要素がすべて集まって、引き続きこの業界の成長を支えていくでしょう。 

[00:13:54] ブランドン エアハルト  この点に関して、初めてバケーションレンタルを試す旅行者に目を向けてみましょう。この業界にはさまざまな誤解があります。バケーション業界で耳にした話で最大の誤解は何でしょうか。この場をその誤解を解く機会にしていただければと思います。

 

[00:14:08] メリリー カー 現時点での最大の誤解を 1 つ挙げるなら、商用事業者が多すぎるというものだと思います。これが誤解である理由ですが、データを見てこのような考えに至っているようなのですが、それは、リスティングがあまりに多いので、それらはすべて商業用の施設だというものです。しかし、多くの場合はそうではありません。ほとんどは個人の住居で、セカンドハウスとなる宿泊施設をお持ちの個人のオーナー様です。ご自身が旅行の際にその住居を使用され、自分で使用しないときにはレンタルに出されています。そのため、個性的な施設が多いのが魅力となっており、施設管理者が優れたサービスをまとめて請け負うことが付加価値となっています。しかし、だからと言って、多数の商業用施設を管理していて、そこに心がないというわけではありません。そこで、業界としてこの誤解を解くことが重要だと考えています。商業用の施設が大量に確保されていて、地元の人の居住用物件が奪われているわけではないのです。そうではありません。それらの住居は個人が所有しているもので、ご本人が利用されない間は他の人に貸し出しているのです。これは素晴らしいことだと考えており、この業界が間違った色眼鏡で見られることがないよう、理解していただく必要があると思います。 

[00:15:25] ティム ロソリオ では、メリリーさん。難しい質問かもしれませんが、お答えください。この数年間、コロナ禍で業界はある意味おかしな状況にありました。このコロナ禍を経て、来年を大きく予測するとどうなるでしょうか。

 

[00:15:37] メリリー カー 今後見られるであろうトレンドの 1 つとしては、バケーションレンタルがビジネスの出張に利用されるケースの増加が考えられます。コロナ禍で、ビジネス旅行者がバケーションレンタルを選択肢の 1 つと考えるようになりました。また、個人の休暇の旅行でバケーションレンタルを利用した人たちも、ロンドンやパリ、ニューヨークに出張で行ったときにアパートに滞在できたら良さそうだ、と考えるようになっています。しかし、もう 1 ついいなと思うのは、業界として協力し、トラステッドステイズのような取り組みが行われていることです。業界のすべての専門事業者が注意義務の認定や適格性認定などさまざまなことを明示できるようになり、それにより初めて、従業員がバケーションレンタルに宿泊することを企業が認められるようになっています。転勤のため長期になる場合でも、商用でどこかを訪れる 3、4 日の短期滞在の場合でも、旅行や出張の際の選択肢が増えるのはとても良いことだと思います。業界にとって本当に新しい状況が生まれると思います。コロナ禍後の回復が見えてくるでしょう。

 

[00:16:47] ティム ロソリオ そうですね。大きなチャンスになると思います。卒業して就職してからの最初の 10 年、私はコンサルティングに携わり、年間 50 週くらいは出張で飛び回っていて、ホテルに宿泊しましたが、1 日仕事をした後に好ましい環境ではありませんでした。覚えているのは、ベッドに横になってテレビを見ながら寝落ちしたことばかりです。滞在中、くつろいで過ごせたらと思っていました。短期レンタルなら、そのような過ごし方ができそうです。Expedia Group では One Key ロイヤルティ プログラムを始めています。これは一部のビジネス旅行者にとっては大きなメリットが得られるものだと思います。出張でポイントを貯めて休暇でそのポイントを利用できます。これまでのホテルの宿泊であったのと同じような仕組みです。

 

[00:17:34] メリリー カー よくわかります。私も出張が多かったので、代わり映えのしないホテルの客室を転々としていると、目が覚めたときに自分がどこの国にいるのかもわからなくなりそうでした。ルームサービスを呼んで、デスクの前に座って、BBC をつけるだけです。どうしようもない体験ですね。バケーションレンタルに宿泊したことがある人は、それとはまったく違う体験ができることを知っています。これがわかっている人は、提供される新しい商品に期待されていることでしょう。

 

[00:18:03] ブランドン エアハルト 面白いですね。実は 2 週間前にキー ウェストで開発に携わる開発担当者と話をしたのですが、彼らの予測ではユニットの半分程度はビジネススタイルの保養所として使用され、バケーションレンタルがチームとして集まる場所として活用されるということでした。タイミングよく面白い話が聞けました。予約に伴う体験の全体を考えてみましょう。お客様が旅行の気分をかき立てられる使いやすい予約サイト、実際の滞在、滞在後の体験まで、そこにはさまざまな関係者が関与します。お客様、OTA、オーナーがいます。そこで、OTA とオーナーの責任を取り上げてみましょう。メリリーさんからお伺いします。あなたから見て、OTA の責任、オーナーの責任はそれぞれどのようなものでしょうか。

 

[00:18:47] メリリー カー 私が思うに、OTA と施設管理会社、オーナーの関係はシンプルです。OTA が優れているのは、施設管理会社やオーナー自身では呼び込むことができないお客様を連れてきてくれる点です。OTA はコンテンツのキュレーションに優れています。最近見た中でこれはと思ったことの 1 つが、ホテルとバケーションレンタルを並べて表示できることでした。お客様が希望に合う商品を探すうえで便利だと思います。施設管理者には、正確な情報を提供する責任があります。これが私の性分というものです。お客様が到着したときに驚かれることがないように、施設がどうなっているかを包み隠さず正直に伝えます。施設管理者側でよく見られるようになってきたのは、お客様の快適性を高めるためのテクノロジーの活用です。私はこれを支持しています。お客様の快適性を高めるにはテクノロジーがすべてではなく、人間らしい気遣いも必要です。しかし、優れたテクノロジーを活用できるようになり、チームのメンバーがお客様のために優れたサービスを提供できるようになれば、それに越したことはありません。お客様向けのアプリや見えないところで稼働しているシステムなど、優れたテクノロジーが市場に出回るようになっています。私たちは Hospiria を使っていますが、多くの作業を自動化できる点が非常に優れています。それにより、必要なときに確実に清掃を行い、お客様の到着時にお出迎えをする人員を確保できます。こうした体制が整っていれば、会社側にサービス提供のための人員が少なくても、作業の効率が高まるため、お客様それぞれに適した体験を提供できるようになります。さまざまなコストが上昇している現在、効率が非常に重要ですが、人間らしい気遣いも忘れるわけにはいきません。そこで、OTA とオーナー、施設管理会社がうまく連携を取る必要があると思います。行き届いた配慮をお客様に感じていただくには、それぞれに応じた対応が必要です。

 

[00:20:56] ティム ロソリオ メリリーさんのおっしゃるとおりです。さらに少し付け加えるなら、これは弾み車のようなものだと私は考えています。OTA は施設の情報をありのままに提示し、私たちはスムーズで使いやすい予約サイトを提供します。優れた施設管理者は常に安定した、人間らしい気遣いの感じられる素晴らしい体験を提供します。OTA はメリリーさんの優れたサービスが報われるように手段を講じます。レビューやコメントなどで、これまでの提供内容をもとに次の予約が取れるようにします。優れた体験を提供できれば、それが次の予約につながり、ビジネスの成長が実現されるという循環をつくることができると考えます。 

[00:21:46] ブランドン エアハルト よくわかりました。さて、自宅でお聞きの方が「うちのセカンドハウスを Vrbo に掲載してみたらどうだろう」と考えたとします。その場合、いくつかの疑問が出てくるのではないかと思います。まず、あなたが当事者だったとして、所有する住居を掲載するかどうか迷っている場合に、知っておくべきことは何でしょうか。

 

[00:22:02] メリリー カー 第一に、ご自身で対応される場合は、自分が参入する分野について知っておく必要があります。お客様に高品質な体験を提供するには、さまざまな業務が生じます。施設管理者を決める場合には、信頼できる相手を選ぶ必要があります。最初の段階で、ご自身で対応されるか、代行してくれる会社を利用するかについて、適切な選択をしておくことが非常に重要です。この選択をしたうえで、施設の準備を適切に整え、その施設に滞在するお客様について、つまりお客様が何を求めるかについて配慮を巡らすことになります。細部までしっかりと準備ができれば、魅力的な施設になり、素晴らしいレビューが集まり、お客様に繰り返しご利用いただけるようになり、ロイヤルティを築くことができます。それにより、その施設を提供したことに対する金銭的報酬という形で、価値が生み出されます。

 

[00:22:56] ブランドン エアハルト さて、ティムさん、このような計画を立てて、その最初の段階で「このバケーションレンタルの価格設定はどうしたらよいか」と悩む方もいらっしゃるかと思います。季節性を最大限に活かす方法や特別なイベントの予定がわかっていて値上げできそうな場合の対応方法を教えてください。このような対応のために Vrbo にはどのようなツールが用意されていますか。

[00:23:12] ティム ロソリオ はい。MarketMaker というツールがあります。このツールでは、目的地やベッドルーム数、設備やサービスの種類に応じて、適切な料金を確認することができます。また、最近パイロットプログラムを開始しており、ご希望に応じて設定するだけで、あとはすべてまかせることができます。価格設定を自動化することができ、最低料金や最高料金をどうするかなど、柔軟に設定することもできます。弊社はテクノロジーの面でオーナー様をサポートします。ここには大きな可能性があると考えています。

 

[00:23:47] ブランドン エアハルト 収益管理に関しては、自分の現状と、他の短期レンタルやホテルとの競合状況がわからなければ、怖ろしく感じられると思います。Vrbo には MarketMaker という優れたツールがあるということですね。ではメリリーさんに伺います。料金や予約率の観点から、オーナー様が施設から最大限の利益を得るにはどのような方法がありますか。

 

[00:24:07] メリリー カー そうですね。多くの方は施設管理者を利用することを選ばれています。施設管理者は日々このようなことに対応していて、事業を展開している各地域の市場についても知っているからです。たとえば弊社には、市場について確認できる独自のソフトウェアがあり、オーナー様のための業務の一環としてこうした調査を行っています。オーナー様はもちろん、信頼できる施設管理会社を選択する必要がありますが、一度選択してしまえば、その会社に委託することができます。「私のために最大限の利益を上げてください」と頼むわけです。ほとんどの施設管理者は歩合制で収益を得ます。そのため当然、オーナー様の収益が高くなれば、自社の収益も高くなるため、オーナー様に少しでも大きな価値を提供しようというやる気が起きます。これはある意味、共生的な目標を持ち、協力体制を組む、最適な関係だと私は考えています。良い関係を築くことができれば、両者が成果を得られます。

 

[00:24:59] ブランドン エアハルト そうですね。それでは、ここまでで、リスティングについて、また、料金について伺いました。オーナーになろうという方に、最後にもう 1 つアドバイスをお願いします。最大限に予約を取り、お客様にリピーターになってもらうためにはどうしたらよいでしょうか。メリリーさんからお伺いします。ティムさんにもご意見を伺いたいと思います。

 

[00:25:14] メリリー カー とてもシンプルなことです。重要なのは、施設を常に良い状態に保ち、細部にまで気を配ることです。たとえば、家族連れのお客様が楽しめるようなボードゲームを用意する、良いコーヒーマシンを設置してネスプレッソカプセルを置いておくなど、さまざまなことが考えられます。その施設周辺の地元について考えを巡らせて、ウェルカムパックを準備するのもよいでしょう。こうした小さな気遣いが喜ばれるものです。お客様がその施設がある周辺環境について理解し、体験してみるうえでも役立つものです。おすすめのレストランやその地域で体験できることなどの情報を提供しましょう。お客様が自分で Google で調べれば見つかるような観光情報ではなく、他ではできないようなちょっと変わった体験をして、特別な思い出を持ち帰れるようなものであれば、なお良いでしょう。このような配慮がうまくいけば、お客様はその施設をおすすめしてくれるようになり、繰り返し利用してもらえるようになり、素晴らしいレビューが書き込まれて他のお客様にも安心して予約してもらえるようになると思います。

 

[00:26:22] ティム ロソリオ 本当にそのとおりです。メリリーさんは小さな気遣いについて取り上げられました。私からは基本中の基本とも言えることを 2 点お伝えします。基本事項の 1 つ目は、短期レンタルの賃貸が適法であることの確認です。少し調べるだけで、何が認められているかを確認できる場合もあるでしょう。宿泊数の上限はありますか。責任ある事業者としてどのような登録番号が必要でしょうか。これが 1 点目です。非常に基本的なことの 2 点目は、良い清掃業者を見つけることです。結局のところ、面白いボードゲームを用意したり、周辺で体験できるおすすめ情報を提供したりしても、その施設が毎回きちんと清掃されていなければ、あまり効果は得られないからです。

[00:27:06] ブランドン エアハルト 最後のテーマに移りましょう。面白い話になると思います。メリリーさんならこのような旅行をされそうですが、死ぬまでに行きたいバケットリストの旅行について今日のゲストにお伺いします。素敵なバケーションレンタルの施設に泊まりにいくとしましょう。あなたなら、誰とどこに行きますか。

 

[00:27:24] メリリー カー 私はまたブラジルに行きたいですね。ブラジルの北側、レシフェの近くにポルト デ ガリーニャスという美しいビーチがあります。何年も前に行ったことがありますが、そこにまた行きたいと思います。私は 11 月に第一子を出産しました。今は 5 か月になっています。その子を連れて行って、海を体験させてあげたいです。面白い所があって、現地の言葉で「海のプール」というのですが、1 km に渡るビーチに水泳用のプールがあります。潮が引くと、この温かい水を蓄えたプールで泳ぐことができます。小さい子供にとっては夢のような場所だと思います。

 

[00:28:03] ブランドン エアハルトとても楽しそうですね。ティムさんはどうですか。

 

[00:28:05] ティム ロソリオ そうですね。夢のバケーションレンタルと言えば、スコットランドかアイルランドに行きたいです。古いマナーハウスに滞在して、一日中ゴルフをしたいです。ゴルフの後はマナーハウスに戻ってスコッチウイスキーを楽しむというプランです。

 

[00:28:25] ブランドン エアハルト お二人とも考えたことがなかったとは思えない回答でしたね。とてもいいです。旅行業界について、メリリーさんから説得力と洞察に富むお話を伺いました。旅行業界は成長傾向にあり、その成長速度は他の業界以上かもしれません。私自身、バケーションレンタルは旅のあり方に大きな柔軟性をもたらすものだと思います。ホテルの客室に縛られることはありません。複数の部屋が必要な場合でも、比較的手ごろに確保できます。バケーションレンタルは成長の一途をたどるでしょう。特にビジネスでの需要を考えれば、ミーティングや社外で集まる場所として柔軟な選択肢が増えることになります。ティムさん、今後の展望について、また今回の対話で印象に残ったことをお聞かせください。

 

[00:29:04] ティム ロソリオ うまくまとめてくださいましたね。以前から、バケーションレンタルは毎年恒例のビーチパーティなどに利用されてきました。そこからさまざまな活用方法が見つかっており、今後も増えていくでしょう。使い勝手がよいからです。ここからさらに、バケーションレンタルが普通のものになっていくと、その活用方法はさらに増加すると思います。ビジネスの出張や週末のちょっとした息抜きなどの他にも、この素晴らしい商品を活用できる場面が出てくるでしょう。

 

[00:29:31] ブランドン エアハルト そうですね。お忙しい中お時間を割いてご参加いただき、専門家としてのご意見をお聞かせくださり、本当に感謝いたします。ポッドキャスト「旅行ビジネスをサポート」の本エピソードをお聴きいただきありがとうございました。皆様のご意見をお聞かせください。PoweringTravel@ExpediaGroup.com までメールをお送りください。スペースなしの一語で PoweringTravel@ExpediaGroup.com です。今週はハワイから嬉しいメッセージをいただきました。ポッドキャスト制作に携わるスタッフも喜んでいることと思います。ぜひご意見やご感想をお寄せください。ご提案、ヒント、テーマ、ご質問など何でもお待ちしています。PoweringTravel@Expediagroup.com まで。また、ご登録いただくと新しいエピソードのお知らせを受け取ることができます。お時間があれば、評価とレビューをお願いいたします。ぜひ多くの方に聞いていただければと思います。お聞きいただきありがとうございました。Expedia Group がお送りする「旅行ビジネスをサポート」の次のエピソードでまたお会いしましょう。



登場いただいた専門家の皆様


メリリー カー氏

UnderTheDoormat Group、CEO 兼創業者 

UnderTheDoormat Group は受賞歴を誇るプロップテック企業です。JP モルガンが女性活躍企業を選定する「Female Powered Businesses」の英国におけるトップ企業の 1 社として、また、スキフトが選定する世界で短期レンタル型宿泊の未来を築いているトップ企業の 1 社として
認められています。

イギリスの業界団体 STTA (Short Term Accommodation Association) の議長に選任され、業界代表としてイギリスおよび EU 政府との話し合いを定期的に行っています。BBC、スカイニュース、タイムズ、ガーディアン、ウィッチ?、ハフィントンポスト、スキフトで業界の広報担当の役割を果たし、エステート ガゼット、ヨーロピアン ビルトワールド、VRMA、トラボリューションから表彰されています。

ティム ロソリオ

Expedia Group、バケーションレンタル部門、パートナーサクセス担当バイスプレジデント

ティム ロソリオは短期レンタル型宿泊ビジネスについて総合的な視野に立った見解を持っています。バケーションレンタル (VR) 分野の専門家であり、収益化戦略、VR 分野の競争力強化、買収、レディネス、Fast Start プログラムなど、Vrbo の数多くの重要なプロジェクトや取り組みに携わり、リーダーシップを発揮しています。


バケーションレンタル部門で 8 年の経験を重ねているだけでなく、彼自身が Vrbo でオーナーをしているため、オーナー様に何が必要であるかを理解しています。パートナーサクセス担当 VP 就任以前は、エクスペディアのビジネス戦略および変革チームの担当でした。

ブランドン エアハルト

Expedia Group、マーケティング部門バイスプレジデント兼 「旅行ビジネスをサポート」メイン MC

Expedia Group の B2B 宿泊施設に関するマーケティング責任者であり、パートナープログラムの拡張に関して重要な役割を果たしてきました。戦略的事業をリードし、収益分析データの利用を広げることでパートナー様の成功を促進しています。妻と旅行好きの子供と一緒にイリノイ州シカゴで暮らしています。



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