十分なサービスを受けていない旅行者について、また貴施設のビジネスにインクルージョンを取り入れ、すべての旅行者の体験を向上させるためのステップについて、詳細をご確認ください。
旅行は長い間、経済成長や文化交流の原動力となってきました。しかし、黒人、ラテン系、LGBTQIA+、障がいのある旅行者など、十分なサービスを受けていない旅行者は、差別的な待遇や不十分なインフラ設計をはじめとする、自由で安全な旅行を妨げる障壁に直面することが多い傾向にあります。旅行業界には、こうした障壁を認識して、よりインクルーシブな観光を可能にするために必要な手段を策定し、講じるために協力する責務があります。
米国で十分なサービスを受けていない旅行者について深く理解し、業界全体でどのように協力すれば誰にとっても快適な旅行体験を提供できるかを明らかにするために、弊社は APCO Insight と共同で独自調査を実施しました。「すべての人に楽しい旅を : 旅行におけるインクルージョンに関する Expedia Group の調査」では、大規模なアンケート、十分なサービスを受けていない旅行者を対象としたフォーカスグループ、業界リーダーに対する掘り下げたインタビューを通じて、旅行プロセス全体でさらなるインクルージョンの配慮を求めるこれらのコミュニティの明確な要望が明らかになりました。
十分なサービスを受けていない人々が増え続ける中、すべての人が歓迎され、楽しめる旅行を目指し、またバリアフリーへの配慮を優先できるビジネスこそが、顧客ロイヤルティを深め、収益拡大のチャンスを掴み、ダイバーシティに配慮した旅行エコシステムによるメリットを享受できます。
分析データをご確認いただき、貴施設のビジネス戦略策定の際に、すべての人にとってより快適な旅行体験を創出するための貴施設の役割を伝えるヒントとしてお役立てください。
十分なサービスを受けていない旅行者の旅行分析データ
米国では今後も、十分なサービスを受けていないアイデンティティ グループの割合が着実に増加することが予測されています。このアイデンティティ グループが旅行マーケットに与える影響も高くなる一方で、旅行業界はまだ対応できておらず、十分なサービスを受けていない旅行者の旅行体験に影響を及ぼしています。この事実は、旅行業界におけるインクルージョンへの対応が、スマートビジネスや収益において必要不可欠であることを物語っています。
成功のカギを握るインクルージョン
71%
73%
76%
黒人旅行者
黒人旅行者の旅行体験は、旅行業界や社会が黒人のアイデンティティにどのように対応するかによって大きく左右されており、旅行の選択から支持するブランド、表現の重要性まで、あらゆる要素に影響を与えています。
黒人の旅行者は、自分のアイデンティティが旅行の選択肢を制限することが多く、旅行計画や体験のあらゆる要素に影響を及ぼすと答えており、41% がアイデンティティによって目的地やアクティビティの選択肢が制限されていると感じています。そのため、黒人旅行者は目的地が安全であり、すべての人を歓迎してくれる場所であるかどうかを確認するためにかなりの時間を費やしています。計画に約 8 時間を費やし、安全性とインクルージョンへの配慮を確認するのにさらに 6 時間を費やしています。
黒人旅行者が直面する障壁
黒人旅行者は、旅行の計画中、特に情報を探す際に、自分のアイデンティティに関連する課題に直面していると報告しています。
73%
49%
31%
黒人旅行者の半数以上が、インクルージョンに関する取り組みを明確に支援・促進する旅行ブランドを強く好み、ロイヤルティを示しています。黒人旅行者の 10 人中 6 人 (66%) は、旅行サービス提供会社がダイバーシティとインクルージョンを公的に支持している場合、その会社で再度予約する傾向が高いと答え、67% が、そのロイヤルティ プログラムに参加したり活動を継続したりする可能性が高いと回答しています。
黒人旅行者はブランドによる表現を重視する傾向にあります。ほぼ 4 人中 3 人 (71%) が、広告の中で自分たちが忠実に表現されているのを見た場合、その企業で旅行を予約する傾向が大幅に高まると回答しています。しかし、旅行広告で「しっかりと表現されている」と感じている人はわずか 18% に過ぎず、旅行業界のマーケティング活動において、忠実な表現に取り組む余地がまだ残っていることが分かります。
「一生懸命働いたお金を使って、自分が必要とされていない場所に行きたいとは思いません。精神的にも感情的にもよくないですから」
ラテン系旅行者
ラテン系旅行者がよく直面する障壁としては、情報へのアクセスと言語におけるバリアフリーの有無があり、これらの障壁がラテン系旅行者が旅行を計画する方法に影響を与えています。10 人中 7 人 (74%) が、旅行の計画に必要な情報をより簡単に見つけられるようにしてほしいと回答しており、77% が自分の希望する言語を選択できることが予約機能の重要項目であると回答しています。こうした優先事項が旅行のリサーチや計画に余計な時間を費やすことにつながります。
ラテン系旅行者は、旅行のリサーチと計画に約 7 時間を費やし、さらに 4 時間を費やして、目的地が安全であるか、バリアフリーであるか、自分たちが歓迎されるかどうかを確認しています。スペイン語バイリンガルとスペイン語を話さないラテン系の旅行者ではリサーチに費やす時間の差が大きく、リサーチにかかる時間はスペイン語を話す旅行者が約 7 時間、スペイン語を話さない旅行者は平均 5 時間となっています。
ラテン系旅行者のうち、自分と同じアイデンティティを持つ人からの口コミやおすすめ情報を確認できることが重要だと回答した人の割合。そのうち、20% が口コミを見つけるのに苦労していると回答
ラテン系旅行者は必要な情報を見つけるために、目的地のウェブサイトといった従来の旅行の情報源よりも、検索エンジンやソーシャルメディアなど複数のプラットフォームを利用しています。他の旅行者の負担を軽減できるよう、ラテン系旅行者はポジティブな旅行体験 (79%) とネガティブな旅行体験 (62%) をソーシャルメディアで共有していると回答しています。
ラテン系旅行者の優先事項
旅行業界における表現によって、ラテン系旅行者の決断が大きく左右される可能性があります。
82%
78%
73%
LGBTQIA+ 旅行者
十分なサービスを受けていない多くの人々にとって、アイデンティティは旅行の意思決定において大きな役割を果たしていますが、LGBTQIA+ コミュニティにおいては旅行体験を形成する大きな要素となっており、旅行の方法、場所、頻度に影響を与えています。半数近く (45%) の人が自分のアイデンティティが選択肢を狭めていると感じており、旅行の計画やリサーチに費やす時間は、十分なサービスを受けていないほかのどのグループよりも長い結果となっています。
LGBTQIA+ の旅行者は、旅行のリサーチに平均 12 時間を費やし、さらに 6 時間を費やして、目的地が安全であること、自分たちが歓迎されること、バリアフリーであることを確認しています
LGBTQIA+ の旅行者は、旅行の計画に役立つ情報やリソースを求めており、71% が必要な情報をより簡単に見つけられるべきだと回答しています。また、80% がリサーチと計画時において、歓迎されると確信できる目的地を見つけることが非常に重要な要素であると回答しています。
LGBTQIA+ の旅行者の半数以上 (55%) が、同じアイデンティティを持つ人々からの口コミやおすすめ情報を重視している一方で、23% はこうした口コミを見つけるのが難しいと回答しています。そのため、LGBTQIA+ 旅行者は、LGBTQIA+ コミュニティからの口コミの絞り込みなど、LGBTQIA+ に配慮した目的地を見つけることのできる包括的な予約機能を重視しています。
障がいのある旅行者
2022 年の米国国勢調査によると、4,400 万人を超える人が 1 つ以上の障がいを抱えていると回答しています。これは人口の相当数を占め、増加傾向にあるため、旅行業界が決して見過ごしてはいけない事実です。障がいのある旅行者は、旅行のあらゆる段階、あらゆる意思決定において、自分のアイデンティティの影響を感じており、28% が自分のアイデンティティが旅行を計画する頻度を妨げていると回答しています。
障がいのある旅行者にとって、旅行は複雑なプロセスであり、包括的なリサーチ、信頼できる情報源、同じアイデンティティを持つ人々からの口コミが必要となっています。こうした人々は旅行の計画に平均 9 時間を費やし、さらに 4 時間を費やして、目的地が安全であること、自分たちが歓迎されること、バリアフリーであることを確認しています。障がいのある旅行者の 3 分の 2 (67%) が、必要な情報をより簡単に見つけられるべきであると回答しています。
バリアフリーギャップへの対応
障がいのある旅行者にとって、手頃な価格、安全性、インクルージョンは優先事項の高い要素ですが、バリアフリー対応と旅行サービス提供会社からの尊重は、最重要事項となっています。
83%
71%
68%
障がいのある旅行者の 46% は、インクルージョンに関する他の予約機能と比べ、自分と同じようなユーザーからの口コミやおすすめ情報を確認できることが、情報に基づいた意思決定を行う上で不可欠であると回答しています。また、計画段階において、カスタマーサービス担当者への即座のアクセスや、最新の高画質の写真など、正確で具体的な情報を求める傾向もあります。
「私たちが予約に使うサイトには、少なくとも最新情報について宿泊施設に確認してほしいです。ポリシーが最新であること、イベント情報が正確であること、電話番号が変わっていないことを確実にしてほしいです」
十分なサービスを受けていない旅行者の課題への対応
インターセクショナルなアイデンティティを持つ旅行者を含め、十分なサービスを受けていない多くの旅行者が直面する障壁や、旅行業界がこれらの問題に対処することにより生まれるチャンスについて詳しくは、「すべての人に楽しい旅を : 旅行におけるインクルージョンに関する Expedia Group の調査」をダウンロードしてご確認ください。
詳細データ

アディティ モハパトラ
Expedia Group、Global Social Impact&Sustainability 担当副社長
社会および環境の持続可能性の分野における Expedia Group の戦略を指揮し、ビジネス価値を実現しつつ社会や環境に最大限の貢献を行うための取り組みを統括しています。現職において、Expedia Group の社会貢献と持続可能性の推進のための戦略である Open World™ の構想と立ち上げを担当し、社会貢献、インクルーシブな旅行、持続可能性に関する優先分野に対応しています。また、Expedia Group 初の取り組みとなる Accelerator プログラムのエグゼクティブ スポンサーのメンバーも務めています。この取り組みは、スタートアップ企業や中小企業が Expedia Group の専用テクノロジー プラットフォーム上で迅速な成長とイノベーションを実現できるよう支援することで、旅行業界におけるイノベーションを推進することを目的としたものです。
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*このページ内の各種引用データの出典 : すべての人に楽しい旅を : 旅行におけるインクルージョンに関する Expedia Group の調査、2024 年 8 月