ポッドキャスト | シーズン 5 | エピソード 5

フィル コーハン氏が語る『アメージング レース』から得た旅の教訓

エピソードの一部を紹介します。


このエピソードの内容


好奇心旺盛でその土地の文化を体感しようとする人は、旅から価値を得ることができます。長年『アメージング レース』の司会を務めているフィル コーハン氏は、そうした機会を逃せば旅の意義が失われると言います。

 

このエピソードでは、コーハン氏がこれまでに経験した旅から得た教訓について語り、エリザベス グッドリッジとともに印象的な会話を展開します。コーハン氏は初めて海外を訪れた頃の思い出を振り返り、さまざまな文化に触れる体験によって自身の世界観が形作られたと語ります。コーハン氏は、その好奇心は両親から受け取った最大の贈り物であり、今も自身の人生に対する姿勢を後押ししていると言います。

 

37 シーズンも続く番組で司会を務めた経験を振り返りながら、旅先での個人的なエピソードも披露しています。視聴者を世界の旅へと駆り立て、番組を通じて出演者の人間性を伝えてきたコーハン氏は、この番組が何百万人もの人々に今いる場所から一歩踏み出す勇気を与えてきたと話します。最後にコーハン氏は、団体ツアーでは体験できない旅の魔法と、物事が「うまくいかない」瞬間が有意義な思い出になる理由を語っています。

 

インタビュー全編をご覧になり、台本のない本物の旅が記憶に残る瞬間を生み出す理由をご確認ください。

「人とは違う旅がしたい、本物を求めている、と言うのなら、それを実現するためにちょっとした努力をしなければなりません。」

フィル コーハン
『アメージング レース』の司会者

サファリツアーに参加し、太陽が降り注ぐサバンナを歩くゾウを観察している 2 人の旅行者

トランスクリプトを読む

[00:00:02] エリザベス グッドリッジ Expedia Group がお送りするポッドキャスト、「旅行ビジネスをサポート」へようこそ。MC を務めさせていただくエリザベス グッドリッジです。旅行を通じて冒険を求める人たちがいます。本日のゲスト、フィル コーハンさんも、そのような旅行者の 1 人です。フィルさんは長年、『アメージング レース』の司会者とエグゼクティブ プロデューサーを務めています。世界中を旅するフィルさんがこれまでに訪れた国は 140 か国を超えています。そのキャリアを通じて、フィルさんはあらゆる境界に挑戦するストーリーや体験を追求してきました。お話を聞くのが非常に楽しみです。本日の対談では、フィルさんがこれまでに経験した冒険と、その過程で学んだ教訓について語っていただきます。それではお迎えしましょう。フィルさん、本日はご出演いただき、誠にありがとうございます。

 

[00:00:44] フィル コーハン ありがとうございます。

[00:00:45] エリザベス グッドリッジ 37 シーズンにわたって司会を務められている『アメージング レース』は、もうすぐ 38 シーズンが始まります。実は子供の頃からよく旅行されていたそうですね。10 歳になるまでに世界中の国々で暮らした経験をお持ちと伺っています。子供の頃に世界を旅した経験について、少しお話しいただけますか ?

 

[00:00:59] フィル コーハン 私の両親はニュージーランドのとても小さな町の出身です。南島の西海岸にある、とても辺ぴな場所です。父は植物科学の博士号を取得したあと、カナダに赴任することになりました。父はそれを絶好のチャンスだと考えたのです。当時、妹は 2 歳、私は 3 歳でした。私たちはカナダのゲルフで何年か暮らしました。ゲルフに住んでいる間、両親は何度もアメリカ旅行に連れて行ってくれました。私たちはフォルクスワーゲンのバンに乗って多くの旅を経験しました。ウェストファリアのポップアップルーフを装着したフォルクスワーゲンでした。あるときは、両親が長期休暇を取り、家族で車に乗って 9 週間かけて北米中を巡りました。父が北米のすべての国立公園を訪れることを目指していたので、グランド キャニオンやイエローストーン、ヨセミテのほか、もっと小規模な公園も含めてさまざまな国立公園に行きました。こうした冒険の旅を通じて、私も妹も旅行が大好きになりました。私たちはいつも次の冒険を楽しみにしていました。夜中に熊がやってきて、睡眠の邪魔をされたこともありました。

 

[00:02:05] エリザベス グッドリッジ それは驚きますね。これ以上にドキドキすることはないでしょう。

 

[00:02:06] フィル コーハン ええ。子供にとってはとてもエキサイティングな出来事でした。両親がルーフを閉じて、私たちは車の中にいました。両親は私たちの探究心を育ててくれました。私たちは両親を通じて、人との接し方やつながり方を知ることができました。私が人とつながることが好きなのは、両親の影響だと思います。その後、父と母はカリブ海のアンティグアという島へ赴任することになりました。アンティグアで子供時代を過ごせたのは非常に幸せなことでした。ほとんど毎日、海に入っていました。シュノーケリングや魚の捕り方も覚えました。アンティグアに住んでいる間、両親と一緒にセントルシア、バルバドス、ネイビス島、セント キッツ島、アンギラ、トリニダード トバゴ、ジャマイカなど、ほかの島々に何度も出かけました。短い期間ですが、父がコロンビアで仕事をしていたこともありました。私たちはその間、カリに住んでいました。これらの旅を通じて、私の旅行熱はますます高まっていったのです。

 

[00:03:08] エリザベス グッドリッジ 異なる文化に触れるたび、どのようにその文化に馴染んでいったのですか ?

[00:03:12] フィル コーハン 私の両親は誰とでもすぐに打ち解ける性格でした。私たちの家にはいつもさまざまな人が出入りしていました。私は両親がどのような状況でも誰とでも気軽に付き合う様子を見てきました。父は、首相に直接話しかけたこともありました。母は、レゲエバンドをしているラスタピープルに音楽を教えていたこともありました。私と妹が両親から受け継いだ大切なものは、好奇心です。好奇心を持って相手に質問する姿勢です。

 

[00:03:49] エリザベス グッドリッジ 知らない人と出会い、その人のことを知っていくのは楽しいですね。

 

[00:03:53] フィル コーハン 好奇心は私が一番大切にしているものです。『アメージング レース』の仕事を通じて世界中を旅するうえで、最も大切なのは好奇心です。私はよく、一緒に仕事をする人に、「あなたはいつもどこでコーヒーを飲みますか ?」と尋ねるのです。ホテルでコーヒーを飲むのではおもしろくありません。その人がコーヒーを飲んでいる店に行きたいのです。「昼食はどこに食べに行きますか ? ではそこへ行きましょう」という風に会話が進みます。そういえば、あるとき信じられないような体験をしました。エジプトを訪れて、スフィンクスの足元で休憩していたときのことです。チームのメンバーがやってきて、「食事を注文しますが何か食べたいものがありますか ?」と聞いてきました。私はてっきり、彼らがエジプト料理を注文すると思いました。

 

[00:04:33] エリザベス グッドリッジ 当然そう思いますよね。

 

[00:04:33] フィル コーハン すると、なんとドミノのデリバリーがやってきたのです。私たちは、ピラミッドの影に建つスフィンクスの足元でドミノピザを食べました。もちろん文句は言いません。すべてを受け入れて前に進む、とは、あの瞬間のことを言うのでしょう。まさかそんなことが起きるとは思いませんでした。

 

[00:04:52] エリザベス グッドリッジ わかります。色鮮やかな箱を開けてみたら中には装飾された素晴らしい...

 

[00:04:57] フィル コーハン そうです。

 

[00:04:58] エリザベス グッドリッジ 人類が生み出した奇跡が入っていたのですね。

 

[00:04:58] フィル コーハン 信じられないことが起こるものです。こんなこともありました。コスタリカで、30 メートル近い高さの木の上にあるツリーハウスに宿泊したときのことです。朝目覚めると、淹れたてのコーヒーの香りがするような気がしました。すると、淹れたてのコスタリカ産のコーヒーを持った 1 人のスタッフが、音を響かせながらワイヤー伝いに木々の間を通り抜けてやってきました。彼は私たちにコーヒーを届けてくれたのです。目覚めて最初の出来事がこれでした。これには本当に驚かされました。最高のサービスでした。

 

[00:05:29] エリザベス グッドリッジ ご自身の体験を生き生きと語ってくださるので、息を呑んで聞き入ってしまいました。私もコーヒーが大好きです。いつかコスタリカで、新鮮な豆を使った淹れたてのコーヒーを飲んでみたいものです。

 

[00:05:40] フィル コーハン ぜひそうしてください。

 

[00:05:41] エリザベス グッドリッジ 素晴らしいですね。

 

[00:05:41] フィル コーハン このような瞬間に、いつもの環境から抜け出すことがいかに大切かを実感するのです。

 

[00:05:50] エリザベス グッドリッジ 大切なのは変化を起こすことですね。

[00:05:51] フィル コーハン そう、大切なのは変化です。エジプトのドミノピザよりはるかに心地良いと感じたのはコスタリカで体験したサービスでした。いつも言っていることですが、旅行とはほかの誰かの家に立ち入るようなものだと思わなければなりません。そこに住んでいる人たちのやり方を尊重しなければなりません。ただ違いを受け入れればよいのです。肩を隠すべきだと言われる場所では、肩を隠すべきです。何も大げさなことではありません。

 

[00:06:18] エリザベス グッドリッジ そして、なぜそのような伝統が生まれたのか、理由を尋ねればよいのです。

 

[00:06:21] フィル コーハン そうです。

 

[00:06:21] エリザベス グッドリッジ そうすることで、その人たちの世界のやり方を尊重する気持ちが伝わるのですね。

 

[00:06:25] フィル コーハン そのとおりです。特に今のこの世界では、私たちが世界の人々とのつながりを深めるほど、違いを受け入れることができると感じています。すべてのことで意見が一致する必要はないのです。少なくとも、私には私の意見があり、あなたにはあなたの意見があります。だからと言って、このような相違点について冷静に会話ができないわけではありません。違う誰かを崇拝したり、違う誰かに投票したりしていても、結局のところ、私たちには何かしらの共通点があります。必ずしもすべてのことで意見が一致しなくても、つながる方法はあります。それでいいのです。特に今、つながりを築くことは、自分の国で誰かを受け入れることに通じると感じています。

 

[00:07:11] エリザベス グッドリッジ いつもと違う場所に行くと慣れなくて落ち着かないかもしれませんが、相手が誰でも少なくとも 1 つか 2 つは仲良くなれるきっかけを見つけようとするべきですね。

 

[00:07:22] フィル コーハン 私たちは『アメージング レース』という番組を通じて重要なことを行っています。普段あまり旅行をしない人が世界のほかの国々に目を向けるのは、その国に関するニュースを見たときです。ニュースでは、悪い出来事のほうが注目を集めるものです。つまり、あまり旅行をしない人が世界のほかの国々に目を向けるのは、たいてい何か悪いことが起こっているときなのです。たとえば、内紛、大きな嵐、環境汚染、抗議行動などです。何か悪い出来事が起こると、それがニュースとして注目を集めます。それを見た人々は、そこでは悪いことが起こっているから行きたくないと考えます。もし世界の人々がアメリカで起こっている良くない出来事だけを見ていたら、アメリカについても同じように考えるでしょう。実際にはアメリカでは良いこともたくさん起こっています。

 

[00:08:11] エリザベス グッドリッジ そのとおりですね。

 

[00:08:12] フィル コーハン 『アメージング レース』では、間違っていることではなく正しいことに照準を合わせている気がします。この番組では、人間の良い部分に注目しています。世界中の素晴らしい場所に焦点を当て、なぜそこに行くべきなのか、なぜ慣れ親しんだ自分の国を離れて旅をすることが素晴らしいのかを伝えています。番組を見る人にとっては驚きの連続です。自分の国以外に行くのは危険なことだと思っているからです。思い出してください。アメリカは世界で最も安全な国ではありません。確かに比較的安全な国ではありますが、データ上ではアメリカより安全な国があります。だからこそ、この番組では多くの参加者の旅を後押ししてきたのです。こちらをご覧ください。私は昨日、飛行機に乗りました。

 

[00:09:01] エリザベス グッドリッジ 皆さん、フィルさんは今、航空会社からもらった紙を持っています。

 

[00:09:08] フィル コーハン デルタ航空はサービスの質が良くなっていることもお伝えしておきたいと思います。デルタ航空は顧客対応にとても力を入れています。

 

[00:09:14] エリザベス グッドリッジ 技術面でも優れていますね。

 

[00:09:15] フィル コーハン そうですね。このメモは、ケイシーさんというボストンを拠点とする客室乗務員からもらったものです。ケイシーさんは私と妻にこのようなメッセージをくれました。「コーハン様、ご搭乗いただきありがとうございます。私は両親と一緒に『アメージング レース』を見て育ちました。この番組は、私に世界を旅する仕事に就きたいという夢を与えてくれました。本日は、お 2 人の旅に当機をご利用いただき、誠に光栄です。このたびはデルタ航空をお選びいただきありがとうございました。」彼女はメッセージにこの小さな飛行機も添えてくれました。番組を見た人たちから、この番組が何かのきっかけになったと言ってもらえるのは、私にとって非常に意味のあることです。今、ネット上では、世界中の旅行者たちが『アメージング レース』に登場した場所で写真を撮影して、#FollowPhiliminator というハッシュタグを付けて投稿しています。その人たちが番組をきっかけにその場所を訪れたのだと思うととても嬉しいです。

 

[00:10:10] エリザベス グッドリッジ 「悪い出来事のほうが注目を集める」という現象とは対照的な、良い話ですね。

 

[00:10:13] フィル コーハン ありがとうございます。おっしゃるとおりです。

 

[00:10:14] エリザベス グッドリッジ 番組に対して感謝の気持ちをお持ちのようですね。

 

[00:10:17] フィル コーハン とても感謝しています。自分でお金を払ってでもやりたいことを、出演料をいただいてやらせてもらっているのですから。これまでのキャリアの中で、幸運にも何度も旅をする機会に恵まれました。だからこそ、私が何か前向きなメッセージを伝えなければと思うのです。

 

[00:10:32] エリザベス グッドリッジ 以前にポッドキャストで「良い話ほど素晴らしいものはない」とおっしゃっているのをお聞きしました。人間というものは、良い話、気の利いた冗談、面白いエピソードに耳を傾けるようにできています。つまり、つながりを求めているのです。あなたはこのような話を上手に使っておられますが、旅行に携わる人々がこの方法を取り入れるにはどうすればよいでしょうか ? どうすれば、ツアーオペレーターが顧客に対して、良い話を織り交ぜながら目的地について話すことができるでしょうか ?

 

[00:10:52] フィル コーハン 人々と触れ合い、その文化を受け入れることが大切だと思います。重要なのは、常識にとらわれず新しい道を切り拓くことです。従来の方法から少し外れても、今までとは違う新しい機会を探すのです。このような機会は、現地の人々とつながり、その世界を理解することによって生まれます。そのためには、現地の人々と触れ合うことが必要です。その人たちと同じ目線でつながりを築かなければなりません。人とは違う旅がしたい、本物を求めている、と言うのなら、それを実現するためにちょっとした努力をしなければなりません。つまり、自分で機会を作らなければなりません。少しだけリサーチをしたら、あとは人々と話をしたり、リゾートの外に出かけたりして、閉ざされた空間から外に出てみましょう。機会はこういった行動によって生まれます。私が人と違うことをするように勧めるのは、そのためです。実は最近、自分の家族の歴史を辿ってみたのです。その際に、コーハン家の祖先が初めてニュージーランドに移住した場所を訪れてみました。パンくずを辿るように歴史を遡って、祖先が農場を営んでいた場所を突き止めたのです。ここが祖先が住んでいた場所。ここが祖先が登った山。ここが私の家族が住んでいた場所。親戚の名前が付けられた道路もありました。コーハン ロードという道を 2 本見つけました。実際にはもっとあるようですが、私が見つけたのは 2 本だけでした。私の祖父を知る人たちに話を聞くこともできました。自分のことをより深く知る良い機会になりましたが、初めはパンくずを辿っていくとどこに辿り着くのか見当が付きませんでした。まるで探検をしているようでワクワクしました。火曜日の 9 時にみんなでバスに乗って、ここに行って、これをして、あれをして、というように、旅程がしっかり組まれている旅行とはまったく異なります。このように旅程が組まれた旅行をしたい人は、それでいいのです。でも、人とは違うことをしたいなら、自分で実行するしかありません。

[00:12:54] エリザベス グッドリッジ 『アメージング レース』の放送が始まった頃より今のほうが世界が狭く感じられるとおっしゃっていましたね。世界は狭くなり、インターネットに接続する時間は増加しています。目的地や宿泊施設は、顧客が実際にインターネットから離れて過ごせるようにするために、何ができると思いますか ?

 

[00:13:06] フィル コーハン 意識的に遮断する努力が必要だと思います。私の親しい友人 1 人、スコット シェリーは、1992 年から私たち夫婦と仕事をしているカメラマンです。先日、バイク旅行から帰ってきたばかりのスコットと電話で話しました。スコットはバイクを通じて彼の妻と出会いました。スコットはモト グッツィのバイクが大好きで、モト グッツィのバイククラブに所属しています。あるときスコットは、自分のものより美しいモト グッツィのバイクを所有している女性を見かけました。そこでスコットはその女性に話しかけてみました。その後の経過は省略しますが、彼らは今、2 人の子供の親になっています。子育てが落ち着いたので、彼らはモト グッツィの古いバイクを引っ張り出して、一緒に旅に出ることにしました。もう一度、若い頃のようにやってみようと思ったのです。彼らはこの旅に出掛けてみて、大きなインスピレーションを得ることができたと言っていました。スコットはこう言っていました。「旅をしながら何かが足りないことに気づいたけど、初めはそれが何なのかわからなかった。あとになって、かつて旅をしていた頃にはテクノロジーがなかったことに気づいたんだ。昔は紙の地図をバイクのタンクの上に載せて、それを頼りに走っていた。そうするしか方法がなかったからね...」

 

[00:14:12] エリザベス グッドリッジ つまり、問題を解決する方法ですね。

 

[00:14:15] フィル コーハン そうです。交差点でバイクを停めて、人と関わらざるを得なくなるのです。ガソリンスタンドに立ち寄って「ここに向かいたいんだけど、地図ではこうなっていて」と尋ねることになるのです。スコットは、次の旅ではテクノロジーに頼らず、昔ながらの地図を使うつもりだと言っていました。

 

[00:14:30] エリザベス グッドリッジ いいですね。

 

[00:14:31] フィル コーハン 努力をすることは必要だと思います。若い人たちの中にも、スマートフォンに鍵をかけて、インターネットを遮断するという考えを受け入れる人がたくさんいます。旅行では、あまりに多くの人がインスタグラムの写真を撮ることに夢中になっています。目的の場所で写真を撮ることだけを重視して、その魅力を肌で感じないのなら、そこにいないも同然です。

 

[00:14:57] エリザベス グッドリッジ コミュニケーションを大切にする旅とは対照的ですね。

 

[00:14:58] フィル コーハン その場所を体感しているとは言えません。今、昔ながらの旅が見直されているようです。スマートフォンの中で行われていることを気にしすぎず、昔のように一緒にいる人とその場所で過ごす時間を満喫したいと思う旅行者が増えている気がします。

 

[00:15:16] エリザベス グッドリッジ 宿泊施設やツアーガイドは、人々がスマートフォンから離れて過ごせるようにするために、何ができるでしょうか ?

 

[00:15:22] フィル コーハン 顧客が必要としないのものを見極めて取り除き、必要とするものだけに力を注ぐことです。つまり、選択肢を示すことです。インターネットを遮断した状態で過ごすことを顧客に提案するのです。「長い時間、スマートフォンやコンピューターを見続けたり、オフィスに閉じこもったりしていると、すべてを手放して、しばらくの間インターネットから離れてみたくなりませんか ? これはあなたのための旅行です」というように選択肢を示して、インターネットを遮断するかどうかを選んでもらうのです。

[00:15:54] エリザベス グッドリッジ 簡単な質問があります。あなたにとって、良い旅行体験と素晴らしい旅行体験の違いは何ですか ?

 

[00:15:59] フィル コーハン 物事がうまく進まないのが、良い旅行体験だと思います。

 

[00:16:01] エリザベス グッドリッジ それは意外ですね。

 

[00:16:04] フィル コーハン 想像してください。ディナーの席で、素晴らしい旅行体験について話すとします。「今回の旅では、毎日気温が 24 度くらいで天気も最高だった。食事は絶品で、客室も素晴らしかった」といった話をする人は滅多にいないでしょう。これは、何もかもうまくいったという話をしているだけです。一般的に、ワインを何杯か飲んで、おいしい食事をしながら話されるのは、こんな話題です。「信じられないようなことがあったんだ。先日、セントルシアに行ってきた。ハリケーンの季節だということは知っていたけど、その直前なら大丈夫だろうと思った。最初の 3 日間は最高だった。でも 4 日目になると、次第に空が暗くなってきた。ハリケーンがやって来たんだ。どうしようかと思ったよ。飛行機が遅延していると言われて、私たちはそこに足止めされた。でも、ホテルのバーで床に寝転んでいたときに出会った人たちが、とてもいい人だったんだ。その人たちとは生涯の友人になったよ。実は今度、サンディエゴで彼らの娘のジルの結婚式に出席する予定なんだ。」話題に上るのは、うまくいかなかった体験です。では、どうすればこのような瞬間を作り出すことができるでしょうか ? 出掛けた場所で、物事がうまくいかなかった場合に、どうすればその体験を思い出に残る瞬間にすることができると思いますか ? それには、自分をさらけ出すことが必要です。だからこそ私は、常識にとらわれず、人とは違うことをしてみるよう勧めているのです。

 

[00:17:36] エリザベス グッドリッジ 『アメージング レース』の多くのファンが旅に出掛けたり、この番組をきっかけにいろいろな場所に行くようになったという話に心を動かされたとおっしゃっていましたね。あなた自身がテレビ番組や映画をきっかけに旅行をされたことはありますか ?

 

[00:17:51] フィル コーハン 私が好きだったのはアンソニー ボーデインの番組です。紹介される場所に対して、新しい視点でしっかりと目を向けさせてくれるところが好きでした。彼の旅の方法と好奇心に大いに刺激を受けました。デイビッド アッテンボローが世界中を旅する番組も懐かしいですね。この番組で紹介されている場所に行って、自分の目で見てみたいと思ったものです。彼の番組で印象的だったのは、目的を持って旅をしていたことです。彼は本当に型破りな人でした。私は人とは少し異なる考え方をする人が好きなのです。彼はまさしくそのような人物で、世界に貢献しようと力を尽くしていました。クストーの冒険の番組も懐かしいですね。自分も探検家として生まれていたら楽しかったと思います。もし私が数百年前に生まれていたら、世界を旅する探検家になっていたかもしれません。

 

[00:18:48] エリザベス グッドリッジ 世界を探検するという点では、あなたは今、かなり貢献されていると思います。

 

[00:18:51] フィル コーハン そうありたいと思っています。

 

[00:18:53] エリザベス グッドリッジ 私が思うのは、賢明な人たちとの出会いは非常に貴重だということです。会話をして、そこから何かを学ぶ。今までにしたことがないような会話をする。これ以上に貴重な体験はありません。

 

[00:19:02] フィル コーハン 結果として、思いもよらない事態になることもあります。『アメージング レース』の撮影中にこのようなことがありました。兵馬俑坑の内部を撮影する許可をもらったのです。

 

[00:19:14] エリザベス グッドリッジ すごいですね。

 

[00:19:15] フィル コーハン 私たちより前に兵馬俑坑に降りることを許可されたのは、クリントン大統領だったそうです。信じられないような話です。兵馬俑坑に降りて、兵士の像がずらっと並んでいるのを見ていると、不安になってきました。撮影用のカメラを持っていたので緊張しました。監視員も同行していました。もしカメラマンが粘土でできた像にうっかりぶつかってしまったらどうしよう、と思うと、気が気ではありませんでした。もしそうなったら、ドミノ倒しになってしまうでしょう。私たちは立ちすくんで呆然と眺めることしかできません。実はそのときふと、「これを押してみたらどうなるだろう」という考えが頭をよぎりました。そういう瞬間ってありますよね。もちろん実際にはそんなことはしませんでした。世界的なニュースになってしまいますからね。

 

[00:19:56] エリザベス グッドリッジ 当然です。

 

[00:19:57] フィル コーハン おそらくもう『アメージング レース』の司会はできなくなるでしょう。ですから実際にはしませんでした。でも、正直に言うと、そんな考えが頭をよぎったのです。

[00:20:02] エリザベス グッドリッジ そうなのですね。では最後に簡単な質問をさせてください。これはゲスト全員にお聞きしている質問です。

 

[00:20:06] フィル コーハン はい。

 

[00:20:07] エリザベス グッドリッジ ホテルやバケーションレンタルにチェックインしたら、まず最初に何をしますか ?

 

[00:20:13] フィル コーハン 私が最初にするのは、ドアの裏側を見て、火災時の避難経路を確認することです。

 

[00:20:19] エリザベス グッドリッジ それはとても賢明ですね。

 

[00:20:20] フィル コーハン まず最初にドアを開けて、ドアを閉めたら、避難経路を確認します。以前、ホテルに宿泊していたときに、地震か火災の報知器が鳴ったことがあったのです。私は通常、7 階より低い階の客室を予約するようにしています。消防車のはしごは 7 階までしか届かないので、高層階には宿泊したくないのです。

 

[00:20:39] エリザベス グッドリッジ お話を聞かせていただきありがとうございました。じっくりとお話を伺うことができました。以上、本日のポッドキャスト「旅行ビジネスをサポート」のエピソードをお届けしました。世界各地を旅することによって得られた考えと体験を語ってくださったフィルさんに、心より感謝いたします。素晴らしいお話でした。人とのつながりや好奇心、慣れ親しんだ場所から一歩踏み出すことに対するフィルさんの視点は、私たちに多くのことを考えさせてくれました。特に、顧客にもっと意図に沿った思い出に残る旅行体験を提供したいと考えている業界関係者の皆さんには、参考になったのではないでしょうか。今回のインタビュー以外にも、Spotify、YouTube、Apple などのポッドキャストなど、お気に入りのポッドキャスト配信サービスでご視聴いただけるインタビューがあります。この機会にぜひご登録ください。「旅行ビジネスをサポート」をご視聴いただき、ありがとうございました。エリザベス グッドリッジが MC を務めさせていただきました。次回のエピソードをどうぞお楽しみに。




登場いただいた専門家の皆様


エリザベス グッドリッジ

ディレクター、コンテンツエディター兼ライター

数十年にわたって編集者やジャーナリストとして活躍し、現在、ディレクター、コンテンツエディター兼ライターとして、Expedia Group のパートナー ストーリーテリングの進行役を務めています。ニューヨーク タイムズやボストン グローブなどの報道機関で培った、受賞歴のある長年の経験を生かし、旅行報道や視聴者を第一に考えたコンテンツをお届けしています。

フィル コーハン

テレビ司会者、エグゼクティブ プロデューサー

エミー賞を受賞したテレビ番組、『アメージング レース』の司会者を務めています。19 歳で九死に一生を得る体験をしたことで「諦めずにやり切ろう」という哲学を持つようになり、のちに『No Opportunity Wasted』(チャンスを無駄にするな) というベストセラーを生み出しました。100 か国以上を訪れた経験を持ち、世界で最も旅慣れた司会者と言っても過言ではありません。



こちらでお聴きいただけます

Apple Podcast ボタン Spotify ボタン Google ポッドキャスト ボタン Amazon Music ボタン Castbox ボタン


このページは役に立ちましたか ?

弊社サイトの改善のため、ご意見をお聞かせください。


おすすめの情報